テラドローン、Avirtechのドローン農薬散布事業を買収。農業事業に本格参入へ

背景と目的

2030年には農業用ドローンの世界市場は最大142億9,020万ドル(約2兆900億円)に成長する見込みだ。これを受け、農業ドローンは、精密な作物管理や高効率な生産手法を実現する上で空のインフラ構築の重要な分野となるとテラドローンは考えているという。

インドネシアとマレーシアは、パーム油の主要な生産地として知られていて、世界における生産の約8割を占めている。しかし、森林伐採や生態系への影響、温室効果ガスの排出といった環境への影響が懸念されている。また労働環境が厳しい上、労働力が不足しているなど、インドネシアとマレーシアのパーム油産業は、深刻な問題を抱えている。

今回、テラドローンが事業譲受したAvirtechは、インドネシアとマレーシアで2017年よりドローンを用いたパーム油農園の農薬散布事業を展開。高精度の農薬散布を可能にする技術を有しており、ドローン農薬散布事業のリーディングカンパニーとしての地位を確立しているという。

これまでに累計200,000ヘクタール以上の面積で、1日あたり最大4,000回の飛行を実施。高精度の農薬散布により、最大30%のコスト削減を実現し、150機以上のドローン普及の実績がある。

こうした事業を通じてAvirtechは、パーム油産業の労働力不足の解消や作業員の安全確保、生産性の向上に寄与しており、今後も、こうした課題解消やサステナビリティに配慮したパーム油の生産支援に寄与することが期待されているという。

今回、テラドローンはAvirtechから事業を譲受することで、インドネシアとマレーシアで農業事業に参入する。この新たな事業展開は、テラドローンのミッションの実現に向けた重要な一歩と位置づけており、持続的な成長とグローバルでの新しい価値提供を目指していくという。具体的な事業遂行については、インドネシアではグループ会社のTerra Drone Indonesiaが、マレーシアでは新しく設立されたTerra Drone Agriが事業展開する。

今後の展望

テラドローンは今後、インドネシアとマレーシアにおけるドローンを活用した農薬散布事業の拡大を最優先に実施していく。特に効率的なパーム油の栽培支援に注力し、持続可能な農業の実現を目指す。この事業を通じて、環境への影響を最小限に抑え、農業労働者の作業負荷を軽減していくことは、ESG投資の観点からの価値も提供できると考えるという。

新事業を展開する中で知見を蓄積し、顧客の具体的なニーズをより深く理解することにより、日本を含む海外での展開を検討する。そして、ドローンを活用した技術で農業の未来を形成していくとしている。

関係者コメント

テラドローン代表取締役社長 徳重徹氏

私たちが日々目の当たりにしているのは、グローバルでドローン技術の活用が日々増している現実です。特に農業領域では可能性が計り知れません。今回の農業ドローン事業参入は、"空から、世界を進化させる"というミッションを実現するための重要な一歩です。Avirtechの事業取得やマレーシアでの新会社設立を通じ、農業の現場でのドローン活用の拡大と技術革新を進めていく所存です。

アヴィールテック社COO ウィルソン・オング(Wilson Ong)氏

Terra Droneへの事業譲渡を発表できることを嬉しく思っています。この大きな戦略的なステップにより、農業用ドローンの可能性が新たな次元に広がります。そして、私たちがこれまで続けてきた技術革新への取り組みも更に強化されることを確信しています。

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