稲作の大幅省力化へ可能性 ドローンで種もみ直播実験、収量十分 青森・田子町

ドローン直播した水田の稲刈り。10アール当たり10俵近いコメが収穫できた=17日(大村さん提供)

 育苗、水田への苗運搬などの手間軽減で稲作農家を支援することを目的に、八戸農協と、農業関連事業を展開する「シンジェンタジャパン」(本社東京)が今春、青森県田子町で行った種もみのドローン直播(ちょくはん)実験で、当初想定を上回る10アール当たり9.6俵の収穫があったことが20日、関係者への取材で分かった。実験をした水田を所有する同町の精米所代表で農業大村光義さん(57)は「農業については悲観的な状況がほとんどだが、問題解決へ明るい兆しが見えた」と話した。

 複数の処理剤を組み合わせた酸素供給、病害虫防除効果がある「リゾケアXL」でコーティングしたもみの直播は同町七日市の水田で、大村さんの次男拓士(たくと)さん(19)の県営農大学校での研究も兼ねて行った。大村さんは当初、従来の稲作の2割減の収量を見込んだが、従来の栽培で10アール当たり10.2俵、リゾケアXL使用が9.6俵、鉄コーティングの種もみをドローンでまいた水田では9.2俵の収量があった。

 稲刈りは17日に行い苗植え、直播いずれも猛暑の影響による変色やカメムシ大量発生による被害はあったが高齢化、後継者不足による耕作放棄田が増える中、ドローン直播で大きく省力化できる可能性があることが分かった。来春には拓士さんも仕事に合流し、複数の耕作放棄田の稲作を請け負っている大村さんの請負田が増える見込みで「農地中間管理事業を活用し、少しでも耕作放棄地が少なくなるお手伝いができれば」と話した。

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