原爆小頭症の被爆者 喜寿を祝う「元気でまた来年会いましょう」 “きのこ会” の被爆者 11人に…

母親の胎内で被爆し、重い障害を負って生まれた原爆小頭症の被爆者たちの誕生会がありました。被爆者たちの喜寿(77歳)を祝いました。

最も若い被爆者が77歳を迎えました。

原爆小頭症は、妊娠早期の胎児が強力な放射線を浴びたことが原因です。頭が小さいことが特徴で、多くが脳や体に障害を負っています。

きのこ会 原爆小頭症 戸田初美 さん
― 覚えてるかな、戸田さん? 斉藤とも子です。
「覚えとるよ」

原爆小頭症被爆者と家族の会「きのこ会」の誕生会には、オンラインも含めて小頭症被爆者6人と40人ほどの支援者たちが集まりました。コロナ禍でここ数年、会うことが制限されていましたが、会員たちは仲間と会うことを心待ちにしながら毎日を過ごしてきたそうです。

参加者は、支援者がデザインしたおそろいの紫色のTシャツを着て、77歳の誕生日と喜寿を祝いました。

支援者で俳優の 斉藤とも子 さんが会員たちに近況をたずねました。

きのこ会 原爆小頭症 中井新一 さん
― 体調いかがですか?
「調子いい」

田中敏子 さん
「氷川きよしやいろんな歌(の歌詞)を書いたりしています」

賀村春夫 さん
「仕事もがんばってやりよるんよ」

誕生会では、この1年間に亡くなった小頭症の被爆者と支援者に黙とうを捧げました。

きのこ会 会長 長岡義夫 さん
「きょう(の参加)が最後になる人も…。そうなってほしくはないけど、そうなる可能性があって、残された少ない時間かもしれないけど、心穏やかに過ごしてほしいのが一番の望み。あとはいっぱい笑って楽しいことをして…」

川下ヒロエ さん
「♪幸せなら名前を呼ぼう、ひろちゃーん」

1965年に原爆小頭症の親たちがつくったきのこ会。その活動の柱は、「核兵器廃絶を訴えること」。そして「小頭症被爆者への国からの保証を求める」ことです。

きのこ会 事務局長 平尾直政 さん
「(小頭症の被爆者は)自分たち自身で核兵器反対とは言わないけど、元気で生きていることで核兵器廃絶を訴える力があると親御さんは言われていました。元気でまた来年、会いまょう」

きのこ会 会長 長岡義夫 さん
「なぜ、この子たちが生まれてきたのか、存在しているのか、そこまで少し踏み込んでみなさんに考えていただければ」

体が弱く、二十歳までは生きられないと言われていた原爆小頭症の人たち…。原爆投下から78年が経ち、ほとんどの会員が健康に不安を抱えています。

(三次市からオンライン参加の 岸君江 さんにエール)
きのこ会 原爆小頭症 戸田初美 さん
「がんばってね。みんなと一緒にがんばろうね」

賀村春男 さん
「岸さんもがんばってよ。みんなもがんばっていますよ」

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