朝乃山、勝ち越し王手 小結翔猿を撃破

  ●蹴返しに落ち着き対処

 大相撲秋場所(両国国技館)12日目の21日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西小結翔猿(追手風部屋)を寄り切り、勝ち越しに王手をかけた。得意の左上手をがっちりとつかみ、うるさい相手を力強く仕留め「上手を取れたので、前に出るだけと思って出られた。土俵際もしっかり腰を割れた」と納得の口ぶり。13日目での勝ち越しを目指す。

 朝乃山は当たってすぐに左上手をがっちりとつかみ、左で何度も投げを打って崩す。終盤戦は2連勝で、先場所から抱える左上腕負傷の影響を感じさせない取り口を続けている。

 「何でもできる器用な関取なので」と最後まで気を緩めることはなかった。相手の蹴返しにも落ち着いて対処。ただ左を固めた相手に右を十分に差せなかったことは反省点で「立ち合いがふわっとしていて悪かった。そこは駄目」と話した。

 今場所の役力士との対戦が終わり、3大関3関脇2小結に対して3勝5敗となった。復帰してから初めて役力士との総当たりとなり「大関戦は完敗だった。これが今の自分の実力だと思う」と悔しさをにじませた。

 13日目は東前頭11枚目の御嶽海との元大関対決が組まれた。対戦成績は5勝6敗ときっ抗している。直近は朝乃山の2連勝中で、2021年5月場所以来、約2年ぶりに対戦する。

 長期出場停止から幕内上位へ戻ってきた元大関。復活を願う館内のファンからの大声援は初日から変わらず、残り3日間の成績次第では来場所の三役復帰が視界に入ってくる。「しっかり気合を入れたい」と集中力を高め、最終盤へと臨む。

  ●1敗もできない/一問一答

 ―取組を振り返って。

 ふわっとした立ち合いで駄目だった。そのすきに右下手を入れられた。上から上手を取る形になった。

 ―足技もあったが。

 何でもできる器用な力士。けたぐりは頭に入ってなかった。まわしを取って攻められていたので蹴られても、急がなかった。

 ―落ち着いていたか。

 どう思いますか。上手を取れたんで。本当は前に出て勝つのが自分の相撲だけど、無理して出ても、けたぐりとかくらっていたかもしれない。土俵際で、腰を割れていたと思う。

 ―三役戦を振り返って。

 大関戦は完敗だった。これが今の自分の実力だと思う。分からないけど、今の成績だと、上も混雑しているし…。それは終わってからですね。

 ―2桁勝利へ。

 1敗もできない。一番一番やるだけ。

© 株式会社北國新聞社