露出の化石壁をドローン調査 白山・桑島、水位低下受け

普段は水面下にある岩肌があらわになった桑島化石壁=白山市桑島

  ●本社調査団

 記録的な暑さと少雨の影響で手取川ダム(白山市)の水位が大幅に低下したことを受け、北國新聞社の手取川環境総合調査団は21日までに、上流にある1億3千万年前の地層「桑島化石壁」の緊急調査を行った。普段は水面下にある下部の岩肌がむき出しとなっており、水が減らないと目にすることができない「立ち木の化石」や壁全体の様子をドローンで撮影した。分析し、貴重な化石壁の保全に役立てる。

 国土交通省金沢河川国道事務所によると、21日午前0時時点で手取川ダムの貯水率は16.7%。桑島化石壁付近では、道路から約50メートル下の川底まで見える状態が続いている。

 調査は19日に行われ、団長を務める丸山利輔石川県立大参与らが参加した。川の斜面や堆積土を伝って壁の下部を観察した。

  ●新たに「立ち木の化石」

 化石壁では、立ったままの樹木に二酸化ケイ素が染み込んで化石化した「珪(けい)化(か)木(ぼく)」や炭化した「炭化木」など多彩な化石が産出される。8月下旬には白山市手取層群化石調査団により壁の下部で新たな炭化木が発見された。

 手取川環境総合調査団も19日、同じ炭化木を確認した。長さ約70センチ、幅約8センチで、下の部分は岩壁の中でさらに伸びているとみられる。

 立ち木の化石は、この地層に樹木が生えていたことを示し、太古の森林の状態を知る貴重な手掛かりとなる。一行は化石の状態を写真に収め、壁の下部から上部までの全体像をドローンで撮影した。

 丸山団長は「普段見えない部分を含めて化石壁の姿を記録し、未来の資料とすることは学術上、大変な意義がある」と強調。地質・地理グループ長の長谷川卓金大教授は炭化木について「世界ジオパーク・白山手取川の目玉である桑島化石壁で新たな発見があったことは関心を高めるためにも重要だ」と話した。

 手取川環境総合調査団による桑島化石壁の調査では、レーザー撮影による精密な画像パネルが制作され、20日から白山恐竜パーク白峰で展示が始まった。北國新聞社は壁の下部についてもパネルを作り、白山市に寄贈する予定である。

桑島化石壁の下部で見つかった炭化木を確認する調査団員

© 株式会社北國新聞社