大河ドラマ「どうする家康」、南砺・井波の木彫刻活用 仏師の関さん演技指導「最後まで支える」

演技指導を行った回の台本と、ドラマに登場した彫刻を紹介する関さん

 佳境を迎えているNHKの大河ドラマ「どうする家康」で、富山県南砺市本町(井波)に工房を構える仏師、関侊雲(こううん)さん(50)の彫刻作品が使用されている。主人公の徳川家康を演じる俳優の松本潤さんに木彫りの演技も指導しており、「自分の作った作品が大河ドラマに出るのは不思議な気分。最後まで撮影を支えたい」と話す。

 群馬県出身の関さんは高校卒業後、日展作家で仏師の故斉藤侊琳(こうりん)さんの下で修業を積んだ。その後、井波と都内に工房を設け、仏像制作と後進の指導に当たる傍ら、俳優の故三國連太郎さんや小林薫さんへの木彫りの演技指導を経験した。こうした経歴を買われ、ドラマ制作に協力している。

 関さんの作品は少年期の家康が雑木林で制作した木彫りのウサギや、豊臣秀吉の下へ出奔した重臣・石川数正が大切にしていた仏像など、印象的な場面で登場する。職人仕事ではないため粗さをあえて残すなど、物語に溶け込むように工夫を凝らしている。

 年代に合わせた家康の彫り方の変化にもこだわっている。10代の少年期には幼さを強調するため、体を丸めるような姿勢で彫るよう指導。青年期には一転して慣れた手さばきになるようにした。「松本さんは飲み込みが早く、言われたことをすぐ再現できる。勉強熱心で、回が進むにつれてどんどんうまくなっている」と話す。

 今後も撮影に協力する予定だという。関さんは「主役が彫刻を彫り続けている大河ドラマは珍しいと思う。責任感を持って残りの期間も頑張りたい」と意気込んでいる。

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