外国人誘客へ土蔵公開 高岡市土蔵造りのまち資料館、「伝統建築×アート」テーマに活用

公開と活用に乗り出す土蔵

 富山県の高岡市土蔵造りのまち資料館(旧室崎家住宅)は、インバウンド(訪日客)の誘客に力を入れようと、一般公開されてこなかった土蔵部分の活用に乗り出す。11月から公開し、国内外のアーティストを招いて作品制作や展示空間の会場として活用してもらうほか、ツアーやワークショップも企画。「伝統建築×アート」をテーマに、土蔵の魅力や伝統技術を広く発信する。

 高岡市土蔵造りのまち資料館は、国重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)の山町筋にある。綿糸や綿布の卸売業を営んでいた商人の町家だった建物で、土蔵造りの特徴を残しており、市指定文化財になっている。2002年から主屋を公開している。

 土蔵は中庭を挟んだ奥に立つ。2階建てで1800年代に造られた。日本の伝統的な建築様式の価値を国内外に伝えようと活用に踏み切ることにした。

 公開は11月3日からを予定。同3、4の両日は県建築士会と協力し、建築目線で資料館や山町筋を巡るツアーを開く。来年1月には土蔵や資料館で創作活動する「アーティスト・イン・レジデンス」を実施。国内外のアーティストを4人ほど招き、同13日から制作、20~28日に展示を予定する。建築に関わる伝統技術を体験できるキットを開発し、ワークショップも企画する。公開に向けた土蔵の修繕工事を10月から始め、梁(はり)の補強や壁の塗り直しを行う。事業は観光庁の補助事業に採択された。

 指定管理者を務めるデザイン&マーケティング会社はんぶんこ(同市)によると、訪日客は2、3回目の観光で地方を選ぶ傾向があるという。東海裕慎社長は「高岡には重伝建地区や国宝がある。土蔵の活用も誘客の呼び水になればうれしい」と話している。

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