”犯行再現”映像、西山さん側「警察官が誘導」 滋賀・湖東病院国賠訴訟

大津地方裁判所

 滋賀県東近江市の湖東記念病院での患者死亡を巡り、再審無罪が確定した元看護助手西山美香さん(43)=滋賀県彦根市=が、国と滋賀県に賠償を求めた訴訟の第9回口頭弁論が21日、大津地裁(池田聡介裁判長)であった。検察官に過失がなかったことを主張するため国側が証拠提出した「犯行再現」の映像について、西山さん側は「警察官が誘導する様子がはっきり記録されている」と指摘した。

 国側は8月、西山さんが逮捕直後の2004年7月21日に犯行状況を再現する様子を撮影したとされる映像を証拠提出した。国側はこの日の弁論で、「(西山さんが一連の状況を)よどみなく説明するとともに再現した」とし、「(立ち会った検察官が)自白に高い信用性を認めたことには十分な合理性があった」として、起訴の判断に過失はなかったと主張した。

 西山さん側は、この映像について「犯人であれば動揺が隠せないはずだが、(西山さんは)感情的な動揺を全く示さず、淡々と説明している」と反論。また、人工呼吸器の操作法について「警察官の誘導が甚だしい」とし、西山さんが自発的に説明したとする国側の主張を否定した。

 進行協議では、今後予定される証人尋問について打ち合わせがあった。裁判所は、取り調べを行った刑事、遺体を解剖した医師、起訴判断をした検察官の3人について証人採用の意向を示したという。

 西山さん側は今後、捜査を指揮した刑事らを採用する必要性を改めて訴える。12月まで進行協議が行われ、証人の採否などが決まる予定。

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