夜間中学 佐世保市が検討 長崎県内初 「学びの多様化学校」併設を想定

 長崎県佐世保市が夜間中学の開設を検討していることが21日、分かった。実現すれば県内初。不登校経験がある児童生徒を受け入れる「学びの多様化学校」との併設を想定。研究のためのプロジェクトチームに県教委も参加する。
 同日の定例県議会一般質問で、宮本法広議員(公明)の質問に中﨑謙司県教育長が答えた。
 夜間中学は、戦時の混乱期に義務教育を受けられなかった高齢者や、不登校経験者、在日外国人などが対象。4月時点で17都道府県に44校ある。県教委が2020年度に県内で実施したニーズ調査では、本人や家族ら287人が入学の希望を示し、うち佐世保市が56人だった。
 学びの多様化学校は、文部科学省が8月に「不登校特例校」から改称した。同省が認定し、学習指導要領に縛られず授業時間を削減するなど柔軟に対応できる。10都道府県に公私立24校あり、県内にはない。県教委によると、21年度中に30日以上欠席した県内公立小中高の児童生徒は2784人だった。佐世保市は6月定例市議会で設置に前向きな姿勢を示していた。
 同省によると、両校併設の事例は全国で香川県と京都府の2校しかない。夜間中学に不登校の中学生が通ったり、両校の対象者が授業を一緒に受けたりしている。
 県教委は学びの多様化学校との併設も含め、夜間中学の設置を各市町に依頼していた。佐世保市は開会中の定例市議会に研究関連予算を提案している。同市教委は「市内でも不登校の生徒が増加している。(支援の)一つの手立てとして、設置に向け研究を進めたい」としている。

© 株式会社長崎新聞社