スズ定食いかが 芸術祭で9店舗提供 地元のタコ、海藻ふんだんに

芸術祭に合わせ、珠洲市内9店舗が展開するスズ定食=同市内

 珠洲市全域で23日に開幕する奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)で、地元の海でとれたタコと海藻をふんだんに使った「スズ定食」が市内9店舗で提供される。過去の芸術祭では店が予約の団体客の対応に追われ、個人客の注文にまでなかなか手が回らなかった。珠洲商工会議所などが珠洲の食を楽しんでもらおうと、各店舗に協力を呼び掛け、予約なしでも手軽に提供できるメニューを用意した。

 「スズ定食」は11月12日までの会期中に提供され、会議所が商工業活性化事業として、道の駅「すずなり」(珠洲市)を運営するNPO法人能登すずなりと連携し、各店舗に働き掛けた。3回目を迎える芸術祭で初めて展開する。

 それぞれ約7万2千人、約4万9千人が訪れた2017年、21年の芸術祭では、地元の飲食店は昼食時になると団体客で混み合い、飛び込み客の細かい注文に応じることが難しくなることがあった。

 個人客に少しでも珠洲の食を堪能してもらうため、地元産のタコと海藻を使って予約がなくても手軽に提供できるメニューを事前に考案することにした。

 メニューは店舗によって異なり、それぞれタコの刺し身や揚げ物、鉄板焼き、カルパッチョなどを用意し、海藻は酢の物や汁物などにする。価格は1980~2530円(税込み)。現代アートの祭典に合わせ、珠洲の豊かな食材をアピールする狙いもある。

 真浦町の「庄屋の館」では、新米を炊いたご飯と香の物に、地元の漁師から仕入れたタコを揚げた「タコカツ」とイシモズクの酢の物、海藻の吸い物を提供する。店主の和田丈太郎さん(50)は「気軽に来店し、自然豊かな珠洲の食を味わってほしい」と話した。

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