東京都のデジタル化 変化と課題は 宮坂副知事に聞く

デジタル化を「爆速」で進める方針の東京都のキーマン・宮坂副知事に、都民の暮らしはどう変わるのか、聞きました。

宮坂副知事はインターネット大手・ヤフーで社長を務めた経験などを活かし、東京都のデジタル化を目指す、まさに旗振り役です。

宮坂副知事:「都庁のデジタル化は都庁の組織中でできるが、東京都全体のデジタル化を成功させようと思うと、62の区市町村のみなさんのデジタル化の成功なしにはないと思う」

都庁内だけでなく東京都全体の改革を目指す宮坂副知事。そこで力を入れているのが…

宮坂副知事:「次の挑戦はガブテック東京。外に新しい開発部隊を作って、よりよいサービスが作れるような体制を作りたい」

宮坂副知事が「次の挑戦」と語ったガブテック(GovTech)東京とは、区市町村も含めた東京都全体でデジタル化を進めるために先週、事業を開始したばかりの都の外部団体です。外部団体にすることで、都庁の仕事を優先することなく、各自治体の支援を行いやすくなっているということです。

そしてガブテック東京の役割の一つが、デジタル人材の共有です。採用した人材を区市町村に派遣し、デジタル化の進め方の指導などにあたります。また職員にならなくても、自治体のために働きたい人材に登録してもらい、自治体とマッチングする仕組みも来年度から開始する方針です。これにより、デジタル人材の不足に悩む自治体でもデジタル化を進めやすくなるということです。

では、街の人はどんなデジタル化を期待するのか聞きました。

「保育園の申請とか全部、育休産休も全部役所に行ってみないとわからない」「結局手書きで書いて郵送か用紙をもっていくとかになる。まだまだアナログだなと思いました」「行政の情報も郵便で来る事が多いので、メールとかLINEとかで来てくれたらすぐ読めて開けて便利だと思う」

こういった様々な都民の声に応え、デジタル化を進めることもガブテックの事業の一つです。例えば補助金などの電子申請や公園やスポーツ施設の予約システムなど、各自治体が使うシステムを「ガブテック東京」が取りまとめて事業者と交渉し、自治体と共同でデジタル化することに力を入れていく方針です。

高齢者などのいわゆる「デジタル弱者」の一体が置き去りになるという意見もありますが、この点についても宮坂副知事に聞きました。

宮坂副知事:「デジタルテクだからこそ、届けられなかった人に届けられた事もたくさんある。支援や制度を知り損ねていた人がそれなりにいると疑っている。デジタルを使うと、ひょっとしたらこちらからお声かけできるかもしれない。全自動、プッシュ型、やっておきました、が楽ですよね」

行政がデジタル化することで高齢者の人たちにも行政側から積極的な支援ができるとし、「一人も取り残さない」仕組みへの一歩になると宮坂副知事は強調していました。そして今後の課題としては、それぞれ別々の仕組みでデジタル化を進めてきた自治体とどう歩調を合わせていくのかという点で、自治体によりスピード感は未知数だということです。

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