リアリズム写真の魅力 木村伊兵衛の世界観、学芸員が解説

ギャラリートークに耳を傾ける来館者=砺波市美術館

  ●砺波市美術館で開催

 砺波市美術館で開催されている「木村伊兵衛 写真に生きる」(同美術館、富山新聞社、北國新聞社主催)のギャラリートークが23日、行われた。学芸員の末永忠宏さんが、小型カメラ「ライカ」を手に人の暮らしを撮り続けたリアリズム写真の魅力を解説した。

 末永さんは、東京・下町生まれの木村が小学生の時に縁日でおもちゃのカメラを手にしたのがきっかけで写真家の人生を送ったとし、木村の力作132点を一堂に並べた展示会は珍しいと説明した。

  ●人の暮らし撮り続け

 沖縄の戦前の市場などを写した作品を前に、末永さんは「たえずカメラを手にして人の生活をとらえようとしていた。当時の雰囲気をよく伝えている」と話した。肖像写真は、画家の川合玉堂が画室で一服する様子や、写真嫌いという文豪泉鏡花の伏し目がちな様子など「その人の性格を映し出すようなスタイルで撮影している」と述べた。

 昭和の列島風景の展示では、東京・浅草の街角で切り取った何気ない一場面を紹介。手本の写真家の作品に感化されて以降、「一枚一枚、鑑賞に堪えうる写真を撮りたいと軌道修正したのだろう」と話した。砺波市庄川町示野、島田重夫さん(76)は「写真と、写真をとらえた方の生き様を楽しませてくれる機会に接し大変良かった」と話した。

 会期は11月5日まで。入場料は一般800円、18歳以下・障害者(介助者1人含む)は無料。10月14日午後2時からもギャラリートークが行われる。

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