「がんばって珠洲」人波 奥能登国際芸術祭が開幕

海辺の岩礁に展示された作品「自身への扉」=珠洲市馬緤町

  ●さいはての里山里海彩る 祭典開幕/11月12日まで59組参加

 現代アートの祭典、奥能登国際芸術祭2023(北國新聞社特別協力)は23日、珠洲市全域を舞台に幕を開けた。2017年、21年に続く3回目の開催で、5月の奥能登地震からの「復興への光」を掲げる。初日は石川県内外から1千人超が能登半島の最先端を鑑賞に訪れ、各会場で地元住民に迎えられながら「さいはての地」の自然や歴史、人々の営みに宿ったアートの魅力に触れた。

 芸術祭実行委事務局によると、初日の鑑賞者は約1130人だった。能登の海岸に打ち寄せる漂着物をモチーフにした小山真徳さん制作の「ボトルシップ」の展示会場では、スタッフの刀祢田(とねだ)良一さん(73)=珠洲市若山町北山=が「多くの人に来てもらい、地元が一気に活気づいた」と歓迎した。

 刀祢田さんの自宅は地震で屋根瓦の一部が崩れたままだ。芸術祭は地震の影響で開幕が当初予定から3週間延期された経緯があり、市は被災者の生活再建と復旧工事を進めながら、準備に取り組んできた。芸術祭は14カ国・地域のアーティスト59組が参加し、会期は11月12日までとなる。

 ラポルトすずで開幕式が行われ、実行委員長の泉谷満寿裕市長が「芸術祭を復興への光としたい。人と人を、地域と地域を、さらには珠洲と世界をつなげたい」とあいさつした。

 馳浩知事がビデオメッセージを寄せ、岡田直樹参院議員が祝辞を述べた。西田昭二、近藤和也両衆院議員、宮本周司参院議員、平蔵豊志県議会副議長、協力企業を代表して北國新聞社の砂塚隆広社長が順に紹介された。総合ディレクターの北川フラム氏が参加アーティストを説明した。

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