芸術の世界に包まれる泉都別府 アートフェア開幕&廃材モニュメント完成【大分県】

気鋭の若手アーティストらの多様な芸術作品が並ぶアートフェアの会場=23日、別府国際観光港旧フェリーさんふらわあ乗り場
トム・フルーインさん制作のモニュメント「ウォータータワー10」=22日夜、別府市北浜の北浜公園
モニュメントの点灯式であいさつするトム・フルーインさん

 【別府】混浴温泉世界実行委員会(別府市)が主催する現代アートのプログラムが、市内各所で開かれている。芸術の魅力を発信する「アートフェア」が始まった他、米国出身の現代芸術家トム・フルーインさん(49)のモニュメントも完成。多様な作品が県内外から集まったファンの目を楽しませている。

 ▽アートフェアは23日から25日まで、別府国際観光港旧フェリーさんふらわあ乗り場など3カ所で。アーティストの発掘や支援などが目的で、2025年の本格開催に向けたプレ事業として初めて催した。若手を中心とした気鋭のアーティスト45組による計500点以上を展示している。

 会場には廃材を活用した空間芸術や、磁器のかけらを集めて再生させた工芸品などが並ぶ。同乗り場では来場者がお気に入りの作品を見つけては作者本人に制作意図などを尋ねていた。

 同市在住の画家、新宅和音さん(37)は思春期の葛藤などを表現した油絵を出品。「来場者と交流できる貴重な機会。さまざまな作品からも刺激をもらえる」。来場した同市の自営業、和田真幸(みゆき)さん(72)は「別府にゆかりのあるアーティストが多く、地域への思いを感じた。都会のアートフェアとは違う楽しみ方ができる」と話した。

 ▽芸術振興事業「ALTERNATIVE―STATE(オルタナティブ・ステート)」第3弾で、フルーインさんの日本初公開作品となるモニュメント「ウォータータワー10」が北浜公園に設置された。

 22日、点灯式があり、西田陽一実行委員長(62)が「素晴らしい作品を別府のにぎやかな場所に設置できてうれしい」とあいさつ。点灯すると、訪れた人たちがいろんな角度から撮影していた。

 モニュメントは全長約7メートル。県内の事業者などから集めた感染対策用のアクリル板や看板の廃材をステンドグラスのような立体作品として生まれ変わらせた。別府らしく、温泉水を貯蔵するタンクや竹の節を表現した。

 フルーインさんは「昼と夜で楽しみ方が変わる。廃材を再生させて光をともすことで、希望が感じられる作品になったと思う」と話した。

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