京都・宇治への観光お目当て「抹茶スイーツ」急上昇 市調査で判明

宇治茶や抹茶スイーツを販売する店が多く立ち並ぶ平等院の表参道(宇治市宇治)

 京都府宇治市を訪れた観光客のうち、宇治茶や抹茶スイーツを目当てにした人の割合が増えていることが、市の調査で分かった。写真映えを意識したスイーツなどが増え、SNSで広がっていることが背景にあるとみられる。一方、来年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に関係する源氏物語を目的とした観光客は少なく、発信が課題となっている。

 9月上旬、大阪市から宇治市に観光で訪れた自営業の女性(48)は平等院近くの茶店で茶そばと抹茶のアイスを味わった。友人3人と事前に旅先を決める際、観光サイトに掲載された抹茶スイーツの写真が目を引いたという。「抹茶づくしの旅にしたいと思った。たくさん店があって楽しい」と話した。

 市が昨年7、8月に観光客を対象に市内で実施した観光動向調査によると、来訪目的として抹茶スイーツや茶の購入、茶道などの体験を含めた「宇治茶関連」を挙げた人の割合は41.1%(複数回答)。前回(2016年9月~17年5月)の調査と比べて17.0ポイント上昇した。

 また、8割の人が市内で飲食をしたと回答し、うち6割の人が抹茶スイーツを、4割の人が宇治茶を味わったと答えた。

 市によると、この数年間でパフェやゼリーといった抹茶スイーツなどの宇治茶の商品が増加し、多様化しているという。それらを提供するおしゃれなカフェも増えており、「SNSなどで情報を知った若い世代が以前よりも多く訪れるようになった」(観光振興課)とみている。

 その「宇治茶関連」を抜き、調査の来訪目的で1位になったのは「寺院・神社・名所・旧跡」(76.3%)。平等院をはじめとする従来の観光スポットの人気を裏付けている。

 他方、調査前の昨年5月、紫式部の生涯を描くドラマ「光る君へ」の放送決定が公表されたが、今回の調査で「源氏物語関連」を目的に訪れた観光客は6.4%にとどまった。宇治市は源氏物語の締めくくりとなる「宇治十帖」の舞台であり、拠点施設の源氏物語ミュージアムもあるだけに寂しい結果となった。

 同課は「源氏物語ゆかりの街であることを知らない市外の人は多い。宇治市には平等院や宇治茶だけでなく、多彩な魅力があることをもっと外へ発信していかないといけない」と、てこ入れを図る。

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