三陸ジオパーク、より充実に 岩手県民の理解や活用なお課題

 

 岩手県沿岸部を中心に八戸市から気仙沼市に至る三陸ジオパークは24日、日本ジオパーク認定から丸10年を迎えた。この間、5億年前にさかのぼる三陸ジオの価値や魅力、東日本大震災の教訓を伝える体制の充実を図ってきた。11月には4年に1度の再認定審査が始まる。運営体制や保全の状況、観光や教育への活用などが問われる見通しで、その先の世界ジオパーク認定も見据え、継続して活動の質を高める努力が求められる。

 三陸ジオは▽5億年の多様な大地▽リアスの恵みとテラス(海成段丘)の営み▽オンリーワンの生態系▽豊かな地下資源▽大津波の歴史と共生-の五つの魅力で成り立つ。ジオパークの見どころは地質にとどまらない。大地の変動や浸食が織り成す景観美、生態系、地域に暮らす人々の暮らしや伝統も三陸の大地の歴史の一部となる。

 これまで関係自治体などで構成する三陸ジオパーク推進協議会(会長・山本正徳宮古市長)を中心に体験ツアーや講演会の開催、小中学校での授業、ガイドの育成、案内看板の設置などに取り組んできた。難解と思われがちなジオの県民理解をいかに広げ、三陸の保全や活用を進め、持続可能な地域づくりにつなげていくかが、なお課題だ。

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