鍋島直大、栄子夫妻に光 植松氏、育英会100周年で講演

佐賀育英会100周年を記念し、講演した植松三十里氏=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀

 公益財団法人「佐賀育英会」の創立100周年記念式典が23日、佐賀市のホテルニューオータニ佐賀で開かれた。佐賀新聞紙上で歴史小説「かちがらす」を連載した小説家植松三十里さんが、最後の佐賀藩藩主鍋島直大と妻栄子の功績について講演した。

 首都圏で学ぶ佐賀県ゆかりの大学生のための学生寮「松濤学舎」の運営などをする佐賀育英会は、鍋島直大を初代総裁、大隈重信を副総裁として発足した。2021年6月に創立100周年を迎えたが、コロナ禍で式典は延期となっていた。

 植松さんは講演で、直大が父である10代藩主鍋島直正の思いを引き継ぎ、英国留学を経て、栄子と外交官夫妻としてイタリアで活躍したと紹介。「2人の外交官ぶりは高く評価されている。日本はまだ東洋の後進国。欧州の外交官は貴族が多く、対等に話をするには2人は適任だったと思う」と語った。

 栄子が1887年に誕生した日本赤十字社のボランティア組織「篤志看護婦人会」の会長を務め、大正期にポーランド孤児受け入れに尽力したことなどにも触れ「これほどの業績を残しながら全国的に無名なのは残念。何とか小説にしたいと思っている」と述べた。

 関係者や来賓、一般参加の約150人が出席した。講演後、式典と祝賀会があった。(円田浩二)

佐賀育英会100周年を記念し、植松三十里氏の講演があった会場=佐賀市のホテルニューオータニ佐賀

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