“本職”は柔道や野球でも 関東大会団体3位の快挙 黒磯中「特設相撲部」

練習に取り組む部員と指導する菊池教諭(右)

 【那須塩原】黒磯中の「特設相撲部」が、8月に千葉県成田市で行われた関東大会で団体3位に輝いた。特設部員が正規に所属している部活動やクラブチームは多様で、練習環境も恵まれないハンディを背負う中での快挙。同部を率いる菊池大史芽(きくちひろしげ)教諭(26)は「本気で可能性に挑戦する生徒の姿勢がこの結果に結びついた」と部員たちをたたえる。

 同校では2021年度まで、柔道部員が相撲大会に出場していたが、同部員以外からも参加希望の声があったことから、昨年度から門戸を広げた。現在は野球部員、男子ソフトテニス部員など、3学年で20人が所属している。

 活動は通年で週2回、40分ずつ。始業前のわずかな時間を利用して、朝7時から同校柔道場で練習を重ねている。土俵は、畳の上に敷いた柔道の投げ込み用マットだ。

 指導する菊池教諭は、日体大相撲部で主将を務めたほか、昨秋の国体で相撲成年男子団体の本県代表として出場するなどの実績を持つ。短い練習時間の中で、四股、すり足の基本動作のほか、試合形式の取り組みでは、体重移動など、技術的な指導も行っている。

 団体戦は先鋒(せんぽう)、中堅、大将の3人制。7月の県大会は、出場12校中4位とギリギリで通過。迎えた関東大会では、サッカー部2年で中堅の五月女空(そうとめそら)さん(13)が「失うものはなかった」と話すように、チャレンジャー精神で健闘。出場34チームのトーナメントで準決勝まで勝ち進み、3位となった。

 この快挙に、柔道部3年、特設相撲部主将で大将の高橋安滋(たかはしあんじ)さん(14)は「素直にうれしい。みんなの応援が力となって頑張ることができた」と笑顔。また、サッカークラブチーム所属の2年で先鋒の桑木伸之亮(くわきしんのすけ)さん(14)は「菊池先生に誘われて始めたが、相撲を通して礼儀を学べた」と振り返る。

 菊池教諭は「200点の出来。保護者や教職員のサポートのおかげで達成できた」と話す。また10月に迎える那須地区の新人大会に向け「どれだけできるか力を試し、来年につなげたい」と先を見据える。

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