土石流被害の復旧費用9割補助を熱海市議会が了承も…「一部の人に負担が行き『補助を出すから好きなようにしろ』といわれているように感じる」被災者困惑

2021年7月に発生した熱海土石流災害の被災者への補助制度が、静岡県熱海市の被災者へのヒアリング不足が指摘され、先送りになっていた問題で、9月25日午前開かれた熱海市議会の全員協議会は、復旧費用の9割を補助する制度を了承しました。

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熱海市の方針が二転三転したことで混迷を極めてきた土石流災害からの復興計画。ようやく方針がまとまりました。

熱海市は当初、災害で被災した宅地について一旦、市が買い取り、分譲する方式を住民に示しましたが、2023年5月、被災者自ら宅地を造成し、復旧費用の9割を補助する方式に方針転換しました。

計画の見直しにあたって、市がヒアリングを行ったのが10世帯にとどまった事に批判が集中。6月に関連予算を取り下げるなど方針が二転三転していました。

その後、熱海市は対象となっている117世帯のうち110世帯に対して、電話や個別訪問で9割補助の方式で進めることについて意向を確認。約8割の人から賛同を得られたとして、9月25日の熱海市議会全員協議会であらためて説明しました。

<議長>
「議会としては了承するということにしたいと思いますが、いかがでしょうか?異議なしというところでございます」

熱海市議会の全員協議会は宅地復旧費の9割を補助する制度で進めていく方針を了承しました。

<熱海市 斉藤栄市長>
「我々としては、できるだけ多くの方にこの事業を活用していただいて被災エリアが地域の再生としてプラスになるように着実に進めてまいりたい」

この決定を受け、自宅が被災した太田滋さんは…。

<被災者 太田滋さん>
「自分だけのことを考えると補助の対象になると思うとありがたい制度だとは思うが、全体的なことを考えると一部の人に負担がいってしまって(市は)『補助を出すから自分たちの好きなようにしろ』というように感じる」

熱海市はこの制度について、9月からの運用を目指していて、賛同を得られていない被災者に対しては「丁寧に説明していきたい」としています。

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