富山児童文学賞に清水さん(富山) 「魔女は浮き輪の役目をする」 童話コンクール入賞者決定

最高賞に選ばれた喜びを語る清水さん=富山市内

  ●10月8日、射水で授賞式

 第50回県児童文学祭(県児童文学協会主催、富山新聞社後援)の童話コンクールの入賞者が決まり、最高賞の富山児童文学賞には清水めぐみさん(50)=富山市高木南=の「魔女は浮き輪の役目をする」が選ばれた。10月8日に射水市大島絵本館で授賞式が行われる。

 コンクールには県内外から52編が寄せられた。県児童文学協会の魚瀬ゆう子会長らが選考し、最高賞のほか、優秀賞と優良賞をそれぞれ10編、佳作を12編を選んだ。

 「魔女は浮き輪の役目をする」は、魔女に憧れる小学生「ミサト」の成長物語。ある日、クラスで世話してきたウサギが死んでしまい、悲しむクラスメートを見たミサトは、「魔女」と慕うおばあちゃんのところに行く。おばあちゃんは「魔女は、浮き輪みたいな役割をするんだ」と語りかけ、ミサトが何をすべきかを考え、行動していくストーリーとなっている。

 魚瀬会長は作品について、魔女そのものが出てくる物語はありがちだが、悲しみや怒りの海に溺れる人が自力で救いの岸にたどり着けるよう、寄り添うことを魔女の役目とし、「浮き輪」に例える視点は新しいと評価した。「ミサトが友達のため自分の頭で考えて自ら行動するのを信じて見守るおばあちゃんも浮き輪の役目をしている」と指摘した。

 清水さんは女の子はいつの時代も知恵のある魔女に憧れるとし「誰でも魔女になれるんだと感じてもらって、読んだ子どもの成長につながればうれしい」と話した。

 最高賞作品は28日付本紙文化面の「とやま童話」欄に掲載される。清水さん以外の入賞者は次の皆さん。

 ▽優秀賞 「少年の海」渋谷代志枝(小矢部市)「夜の図書館」平井眞知子(富山市)「いがクリぼうや」瀧川和哉(滑川市)「峠のさくら」猪原千津子(富山市)「初めての登山」石垣美喜子(入善町)「ワーフと池」福島瑛里(富山市)「海にきたクマとクルミ」楠瀬ちょう(富山市)「貧乏神、大好きだ」青木八重美(富山市)「しあわせコンテスト」桐香織(黒部市)「うさぎ追い」矢竹正美(高岡市)

 ▽優良賞 「ミソソソ ラソソソ」まつうらともこ(高岡市)「課外授業」永井紀恵子(入善町)「3980円のぜいたく」井頭いく井(南砺市)「おくれんぼうのサンタクロース」小西真実(岐阜県白川村)「ジィジとマゴ」牧野ひろゆき(富山市)「かまくら」石田裕子(富山市)「野良犬ボロ」山口弘信(富山市)「うな助、脱走」小坪比良美(氷見市)「ブリ太の幸せ」吉田真寿美(砺波市)「三才のおたんじょう日のキセキ」辻めぐみ(七尾市)

 ▽佳作 小川明子(富山市)西田信彦(氷見市)中島由美子(立山町)中村敏夫(富山市)高原正毅(南砺市)須河昭子(南砺市)芳澤まりな(長野県須坂市)石原理恵(富山市)山崎千春(富山市)脇山桃佳(射水市)有澤彰(富山市)高畑裕美(高岡市)

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