原爆投下責任議論を“棚上げ”発言 被爆者団体「到底認められない」 発言撤回を要請 姉妹公園協定めぐり 広島

広島市が平和公園とパールハーバー国立記念公園との姉妹公園協定をめぐり、原爆投下責任の議論を「棚上げする」と発言したことについて、被爆者団体などが撤回を求めました。

広島市に申し入れたのは、県被団協の佐久間邦彦理事長や原水協など、4団体の7人です。

広島市は、平和公園とアメリカ・ハワイ州のパールハーバー国立記念公園が6月に姉妹公園協定を締結したことについて、21日の市議会で「原爆投下責任の議論を棚上げ」したと発言。公園協定を結ぶことにより「核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという機運を醸成し、未来志向に立った対応が急がれると考えた」と述べました。

さらに翌22日の市議会では、「棚上げ」とは「問題の解決処理そのものを放棄するのではなく、あくまで一時的に保留する」意味だとして、「姉妹公園協定でアメリカ国家の責任を不問・免罪にするためのものではない」と釈明しています。

広島県被団協 佐久間邦彦 理事長
「被爆者の間では、これは絶対に許せない」

申し入れでは、「棚上げ発言は被爆者として到底認められない。原爆投下の責任議論について正面から向き合うことこそが未来志向であり、和解への道のり」などとして強く抗議し、▽発言の撤回▽真の和解に向けた「加害者側の反省と謝罪、被害者に対する補償と慰霊、再発防止」の具体化をアメリカに要請すること、さらに▽公園協定の締結破棄を求めました。

広島市国際化推進課の野坂正紀課長は、これまでの市の説明を繰り返し「発言の撤回はしない」と答えました。

一方、核兵器廃絶を目指すヒロシマの会=HANWA(ハンワ)は、「棚上げ発言は、世界の核兵器廃絶運動にとっても極めて影響のある答弁」だとして、広島市の松井市長宛てに公開質問状を提出したということです。

質問は、▽原爆投下責任の議論を棚上げすることはアメリカ側と確認したのか、逆にアメリカは真珠湾攻撃の責任議論を棚上げすることを明言したのか▽締結を決断するにあたり、被爆者や市民の声をいつどのように聞いたのか▽「現時点では棚上げ」としているが、いつになれば原爆投下の責任を問う議論をするのかなど5問で、29日までの回答を求めています。

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