上三川出身“創作折り紙の父” 吉澤章さんの生涯、教本に 小中学校授業で活用へ

完成した教本を手にする氷室教育長

 【上三川】氷室清(ひむろきよし)教育長(62)はこのほど、町出身で日本の創作折り紙「ORIGAMI」を世界に広めた故吉澤章(よしざわあきら)さんの人生をつづった教本をまとめた。町に寄贈された膨大な資料を約1年かけて編集した労作で、小中学校の授業に活用される。氷室教育長は「“創作折り紙の父”と呼ばれた吉澤さんの人生をたどり、子どもたちが郷土愛を持てるような教本となった」と話している。

 町は吉澤さんにちなみ、「ORIGAMIのまちづくり」を進め、教育にも折り紙を取り入れている。教本作りは学校現場から「吉澤さんを学ぶガイドブックを作ってほしい」との声がきっかけとなった。

 作品や資料は、遺族や吉澤さんが設立した「国際折り紙研究会」から2020年に町へ寄付された。膨大な遺品は吉澤さんを支えた愛妻の日記や国内外の支援者からの手紙など、段ボール箱約200個に及ぶ。氷室教育長は昨年11月、仕事の合間や休日を使い教本作りに取りかかった。編集には同研究会の協力も得た。

 教本は中学校版「Origami God 吉澤章」(34ページ)と小学校版「創作おり紙の父 吉澤章」(18ページ)の2冊。ともにA4判で、データ化したDVDも各60部制作した。貧しかった幼年時代から、折り紙が欧州や米国、世界中に広まった経緯を紹介。折り紙と向き合った吉澤さんの人生を写真や手紙、資料で説明している。教本は小中学校などに配布し、授業で活用する。

 寄贈された資料は「吉澤章記念室」を備え、来春完成予定の町ORIGAMIプラザにも展示する。教本は町教育研究所のホームページからも閲覧できる。

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