新湊まるごと「ホテル化」 日本海側初の「スタートアップ認証」 空き家改修、宿泊・飲食施設に

新湊地区を視察するダッラーラ氏(左から3人目)ら関係者=射水市八幡町

  ●25年の開業目指す

 射水市新湊地区の地域振興に取り組む団体「拓(ひら)く会」は、空き家を改修して宿泊・飲食施設を設け、周辺の施設とネットワーク化して地域をまるごとホテル化する取り組みを始めた。地域ぐるみで観光客をもてなすイタリア発祥の取り組み「アルベルゴ・ディフーゾ(AD)」による「スタートアップ認証」を26日、日本海側で初めて受けた。2025年までに空き家の改修を終え、宿泊施設やレストランを開業する計画で、世界に歴史ある新湊の町をPRしていく。

 「アルベルゴ・ディフーゾ」はイタリア語で「分散型宿泊施設」という意味。新たにホテルや観光スポットを設けるのではなく、現存する建物を宿泊施設やフロント、飲食店とすることで地域が一体となって観光客らをもてなすことができる。空き家の有効活用にもつながる。国内では岡山県矢掛町が本認証を受け、スタートアップは宮城県蔵王町など4カ所が認証されており、新湊地区は5カ所目となる。

 26日は国際規格の認証団体「アルベルゴ・ディフーゾ・インターナショナル」のジャンカルロ・ダッラーラ会長が射水市新湊地区を視察に訪れ、拠点となる放生津八幡宮周辺の空き家や施設を見て回った。ダッラーラ氏は新湊地区の魅力を海と山の近さや熱心な住民が多いことを挙げた。一方、若者が少なく、活気が欠けている点を指摘し、「皆さんが協力し、新湊の強みを生かした世界に一つしかないホテルを作り上げてほしい」と伝えた。

 意見交換会では、拓く会の石丸義男代表が住民に新湊が歴史的にも貴重な場所であることを伝えた。宿泊エリアや食べ物の横町通りを設ける計画を説明し、「食べて、遊んで、泊ってもらえる場所にしていく」と語った。

 拓く会では今年中に数カ所の空き家を取得し、24年に改修、25年に営業を始め、26年度以降に宿泊施設やレストラン数を増やしていく。

  ●14歳の記者も取材

 富山新聞射水支局で職場体験をする小杉中2年の上野春奈さん、渡邊悠登さん、荒井美有さんはダッラーラ氏の視察を取材した。3人はADの強みや新湊の魅力や課題、期待したことを質問。ダッラーラ氏は「取り組みを成功させるためには長年にわたって努力することが必要になる。皆さんのような若者が地域に関心を持つことは心強い」と述べた。

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