国泰寺に西郷の書簡 高岡、山岡鉄舟が寄進か

国泰寺で見つかった西郷隆盛の書簡=高岡市立博物館

 高岡市太田の臨済宗国泰寺で26日までに、「維新の三傑」と称される西郷隆盛の書簡が見つかった。寺によると、入手時期や手段は不明だが、幕臣山岡鉄舟が寄進したものと推測される。西郷が隠居や弟の戦死について感情をあらわにした内容となっており、高岡市立博物館の仁ケ竹亮介主幹は「西郷の詳細な動向や本音を包み隠さず吐露している貴重な史料だ」としている。

 書簡は1869(明治2)年3月20日、西郷が一時潜伏していた奄美大島で世話になった島役人・得藤長に宛てている。西郷が戊(ぼ)辰(しん)戦争で江戸城を無血開城し、新潟での戦争の応援に行った後、鹿児島に帰って書いたものとみられる。

 江戸や新潟へ出陣したことを報告し、「隠居するつもりで薩摩藩から休暇を許してもらっていたが、出仕するように命じられた」との旨が書かれている。奄美大島へ行くつもりだったがいくことができず、西郷の家族の世話を得がしてくれていることに感謝も記されている。

 追伸には弟・吉次郎が新潟で戦死したことについて「私がまず戦死すべきところを弟を先立たせてしまい涙を流しているばかり。悲しみをお察しいただきたい」と心境をつづっている。

 書簡は「西郷南洲書翰集」や「大西郷全集」といった書簡集で活字化されている。

 高岡市立博物館は国泰寺の宝物や史料を調査しており、書簡を寄託された。書簡は9月30日から11月26日まで、常設展お宝コーナー「国泰寺のお宝(2)西郷隆盛の書簡」で展示される。

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