鉄道模型コン中・高ダブル受賞 精道三川台 地元の風景を作品に

優秀賞に選ばれた精道三川台中の、左から吉田さん、小嶺さん、田島さん、伊尾木さん

 長崎市三川町の精道三川台中高(廣田悠二校長)の中学、高校の各総合科学部が、8月に開かれた第15回全国高等学校鉄道模型コンテスト(一般社団法人鉄道模型コンテスト主催)に地域色豊かなジオラマ作品を出展し、ダブル受賞を果たした。生徒たちは努力が実り喜ぶとともに「地域の情報発信ができた」と胸を張った。
 高校は東京で開催された同コンテスト全国大会モジュール部門に初出展し、理事長特別賞を受賞した。メンバーはいずれも1年で長友祐樹さん(16)、當麻翔梧さん(15)、坂元祐月さん(15)、田﨑將慈さん(15)の4人。
 モジュールとは、鉄道模型の規格に沿った土台のことで、4人は曲線モジュール(横、奥行き各60センチ、高さ10センチ)を選択。モチーフは、長崎くんちとそれが開催されている長崎市の諏訪神社周辺。狙いは「手作りにこだわり、奥行きのある遠近感を表現」で、手前から奥に向かって人や演(だ)し物などのサイズを小さくし、遠近法で作品に深みを引き出した。
 竹ひごや色紙などで作った演し物は、最も手前の道路上にコッコデショと傘(かさ)鉾(ぼこ)、石段の中ほどにオランダ船、そして踊馬場に龍踊。長年の摩耗まで表現した石段も、奥ほど幅を狭くし遠近感を高めた。
 當麻さんは「直線上に演し物を置いて遠近感を際立たせた。路面電車の網目状の架線も再現した」、坂元さんは「マンションのベランダに植木鉢を置いて生活感を出した」、田﨑さんは「3週間の短い時間での制作となったが、最善が尽くせた」と感想。
 東京のコンテスト会場で説明役を務めた長友さんは「来場客は想像以上に長崎くんちのことを知らなかった。作品と共に長崎くんちについても説明し、多くの人に長崎の情報発信ができた」と笑顔で語った。
 中学は福岡市で開かれた同コンテスト九州大会中学生モジュール部門で、準優勝に当たる優秀賞を獲得。昨年の最優秀賞に続く入賞だった。メンバーは3年の小嶺慧さん(15)、田島茉昊さん(15)、伊尾木陽向さん(14)、2年の吉田祐大さん(14)の4人。
 4人は直線モジュール(横90センチ、奥行き30センチ、高さ10センチ)を選択。コンセプトは「立体交差による高さの表現と『精霊流し』」で、路面電車と西九州新幹線の線路が重なる長崎市宝町付近の景色と精霊流しの様子を作品にした。
 こだわりは、市販の模型キットの利用は最小限にとどめ、身の回りの物を活用したこと。梱包(こんぽう)用ボール紙を使ったガードレールやペーパークラフトの建物をはじめ、精霊船のみよし(船首部)の花は100円ショップで購入したモールで再現。盛大に煙を上げる爆竹は綿と木くずでリアルに表現した。
 小嶺さんは「予算をかけず、手作りでこれだけの作品ができたのがよかった」、田島さんは「楽しく取り組めた。街並みが再現でき、達成感があった」、伊尾木さんは「作品への愛着も深まったうえ、メンバーの仲も深まった」、吉田さんは「3年生は卒業するが、自分はもう1年あるので、再チャレンジしたい」と話した。
 総合科学部顧問の宮本隆教諭(38)は「文化部は他校との交流の機会が少ないので、いい刺激を受けたと思う。プレゼンや来場者へ説明する力も求められ、貴重な経験になったのではないか」と話している。

理事長特別賞を受賞した精道三川台高の、左から長友さん、當麻さん、坂元さん、田﨑さん

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