新潟県柏崎市のものづくり企業10社が、柏崎工業界の魅力を新潟県内外に発信しようと、オリジナルアニメ「とびだせ!柏崎2~決戦!工業都市編~」を制作し、注目を集めている。2023年夏に公開したアニメでは、10社それぞれをモチーフにした10体のキャラクターを通し、技術力の高さをアピールしている。各社の技術力を深掘りし、キャラクターを併せて紹介する。(10回続きの1)
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◆確かな技術 小ロット、複雑な形状でも受注
板金加工、溶接の北星(きたぼし)製作所(柏崎市軽井川)は、レーザー溶接ロボットシステムを導入している。この機械による精密で安定した溶接技術を強みに、部品の高品質化に貢献している。
北星製作所のレーザー溶接ロボットは、人の腕のようなアームが、プログラミングに基づいて自動的に動く。
8月下旬、工場を訪れると、病院の手術室を思わせる無人のブースの中で、レーザーを当て、煙を上げながら、金属と金属をつなげていた。
レーザー溶接ロボットは、手動に比べて、安定した溶接ができる。溶接範囲も最小限となるため、美しい溶接に仕上がる。
北星製作所の工場で稼働する溶接ロボット
北星製作所はこの設備で、液体の漏れが許されない燃料タンクや、半導体のカバーなどを製造。月ごとに替わるような小ロットの部品や、複雑な形状の注文も受け付けている。
溶接は金属の部材を熱するため、温度によるひずみが生じる。そのひずみの低減に向けて、溶接する順番を考え、レーザーの強さやレーザーを当てる時間、レーザーを当てた時の焦点の大きさなどを、素材や形状に合わせて替えている。
レーザー溶接ロボットシステムを紹介する北星製作所の代表取締役、山田幸弘さん=柏崎市軽井川
北星製作所の代表取締役、山田幸弘さん(56)は「試行錯誤を繰り返し、ノウハウを蓄積した」と話す。
レーザー溶接ロボットを導入したのは2011年。建設機械の部品などを手がけていたが、レーザーによる溶接の技術を用いて、より広い分野の仕事を受注しようと、投資に踏み切った。山田さんは「当時、市内で初めて導入したと思う。いい品物を作るためには、この設備が必要だと思った」と振り返る。22年にも最新鋭のレーザー溶接ロボットを導入した。
北星製作所のレーザー溶接機を操作する作業員
北星製作所は1937年、東京都荒川区で銘板などをつくる会社として創業した。戦災で工場が焼失。創業者で山田さんの祖父の出身地・柏崎に疎開し、再び事業を始めた。
現在の主力はトラクターに取り付けるあぜ塗り機など農業関連部品で、売り上げの3、4割を占めている。このほか、建設機械や産業機械の部品も扱っている。従業員は約60人で、売上高は非公表。
板金、機械加工、溶接、塗装、組立の5部門が連携した一貫生産体制も特徴だ。レーザー溶接だけでなく、放電現象を利用したアーク溶接などさまざまな溶接に対応している。北星製作所の山田さんは「これからも、図面通りのしっかりとした仕事をしていきたい」と話している。
◆「朱雀のキタボシちゃん」@北星製作所
レーザー溶接はお手のもの♪頼まれたら断らない姉御肌
アニメ「とびだせ!柏崎2〜決戦!工業都市編〜」の中で描かれている北星製作所のキャラクターは、「朱雀のキタボシちゃん」だ。
北星製作所のキャラクター「朱雀のキタボシちゃん」
作業服にエプロン姿の女性で、北星製作所の強みであるレーザー溶接を行う場面がある。「頼まれたら断らない姉御(あねご)肌」との設定は、社風をイメージ。アニメの制作陣が、会社を見学した際に作業していた女性がモデルになった。朱雀の名前は四神から採った。
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◎「とびだせ!柏崎2~決戦!工業都市編~」参加企業10社
▽サイカワ(安田)
▽品銀鉄工所(田塚3)
▽北星製作所(軽井川)
▽テック長沢(藤井)
▽飯塚鉄工所(半田3)
▽オグロ(安政町)
▽酒井鉄工所(田塚3)
▽日本メッキ工業(田塚3)
▽山崎工業(安田)
▽米谷製作所(田塚3)