もはや「できないこと」はない!? 生産性 “爆上げ”「便利すぎる生成AI」を使いこなすための基礎知識

生産性を爆上げする生成AIの進化が止まらない(metamorworks / PIXTA)

生成AIでは出遅れ感のあったグーグルが、ChatGPTを超えるといわれる「Gemini」を今秋にも公開するなど、生成AIの社会への浸潤が加速している。

最小の手間で最大限のアウトプットが得られる生成AIの利便性はもはや知能・創作系を軸とする職業人を脅かすレベルだ。不可逆の進化の中で、生成AIの現状、さらにその健全な発展のキーとなる法整備について、専門家に話を伺った(全2回)。

生成AIで「できないことは基本ない」

「クオリティ面はまだ進化の余地がありますが、クリエイティブなことも含めて、生成AIでできないことは基本もうないですね」

こう明言するのはAIディレクターのKEITO氏だ。同氏はChatGPTが登場し始めたタイミングからいち早く、生成AIの可能性に心酔し、最新情報を発信。SNSなどを駆使して、わかりやすく最新の生成AIツールを実際に触りながら解説している。

テキスト、音楽、画像、動画、翻訳、プレゼン資料…。ChatGPTの登場以降、次々とリリースされる生成AIツールは、まさにこれまで作業で強いられていた膨大な手間を大幅にセーブし、そのうえでジャンルによってはプロ級のクオリティのアウトプットを提供する。

使いやすさも進化し、もはや身近なツールに

それだけでも驚きだが、テック系のハードルを上げがちなユーザビリティもまさに日進月歩で進歩。IT音痴でも手軽に使えるよう急速に進化を遂げているという。

「ChatGPTでいえば、当初はプロンプト呼ばれる命令文言をどう使いこなせるかがカギでしたが、いまでは通常の会話のように自然な言語を投げかけてもかなりの精度でイメージに近い結果を出してくれます」とKEITO氏は明かす。

さらに、できることもより進化しているという。例えば、ChatGPTにエクセルのファイルを送り、指示した関数でまとめてと投げれば、瞬時に仕上げてくれる。日本の人口推移を棒グラフで示してと指示すれば、その通りのアウトプットを返してくれる。その他、画像や音楽作成、動画制作などもそれぞれに対応する生成AIツールがあり、簡単な操作で玄人レベルの成果物を完成させるーー。

最新の生成AIツールは、その多くがこれまでなら社内で重宝されていたような「〇〇のプロ」も居場所がなくなるような専門性と手軽さを兼ね備えており、業務のあり方の再考を迫られるほどのすさまじい進化を遂げている。

ChatGPTがセンセーショナルに登場してまだ半年程度。あまりに急速な進化にルール整備が追い付いていない感は否めず、「これ以上進化をさせていけない」とその成長を抑制する動きもあるほどだというから驚異的だ。

気になる著作権問題にも各社から対応する動き

一方で、当初から懸念されていた著作権関係の問題については、外堀を埋める動きも出始めている。例えばアマゾンは、電子書籍のキンドル出版において、生成AIを使用した場合、申告の義務化を決定。マイクロソフトは、同社が提供する生成AIサービスについては「全責任を負う」と著作権をにらんだ明確なスタンスを打ち出している。

とはいえ、百花繚乱の生成AIサービスすべてが、起こりうるトラブルに対処できるほど、まだルール面での土台は十分に固まっていない。KEITO氏ですら、「これは本当に著作権問題がクリアされているのだろうか」とツールを使いこなす一方で、いまだに疑心暗鬼な側面もぬぐえないという。

「商用利用OK」を謳うミッドジャーニーだが…

例えば、ミッドジャーニーという画像生成AIは、「商用利用OK」を謳っているものの、学習には同社以外の画像も活用しており、本当に著作権に抵触しないのか不安になる。

一方でアドビ(Nasdaq:ADBE)(本社:カリフォルニア州サンノゼ)は9月13日にAdobe Expressで「テキストから画像生成」および「テキスト効果」といった、Adobe Fireflyの生成AI機能の商用利用開始を発表。この動きにKEITO氏も「画像生成AIの潮目が大きく変わる発表だ」と今後の生成AIの未来を見据える。

遠くない将来にあらゆるツールに生成AIが内蔵される時代が

「もう遠くない将来、あらゆるツールに生成AIが組み込まれることになるでしょう。エクセルやパワポ、ワードなどの業務ツールはもちろん、スマホや家電などにも当たり前のように生成AIが組み込まれ、知らぬ間にその快適さを享受できる時代になるでしょうね」とKEITO氏。

それらの進化と並行し、生成AIが抱える著作権問題も徐々に整備が進み、やがてAIと人間がやるべきことが明確に区別され、全てのことが数ランクアップするーー仕事を奪われるという脅威論ではなく、より豊かな社会の熟成につながる技術革新。そのカギを握るのは利用者・開発者の倫理観、そして新たなルール作り、法体系の整備にかかっているといえそうだ。

後編では、KEITO氏が気になるという生成AIの法的問題について、同領域の法律問題に精通するモノリス法律事務所の河瀬季弁護士に回答いただく形で、生成AIの健全な未来を展望をする。

(後編へ続く)

KEITO: AIディレクター。 YouTube ch登録者数3万人。MidjourneyやChatGPTなどの生成系AIツールの活用方法や、新しいAI系ツールを紹介。その他ITに関する便利ツールや情報も発信している。YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@keitoaiweb

© 弁護士JP株式会社