佐世保でPFAS濃度を調査  発がん性など指摘物質 在米市民団体、結果は年内に公表へ

米海軍佐世保基地近くの佐世保川で、調査のために採水したエルダーさん=佐世保市万津町

 米軍由来の化学物質汚染を研究している在米市民団体「ミリタリーポイズンズ」は28日、長崎県佐世保市の米海軍佐世保基地周辺の佐世保川で水を採取した。発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)の濃度を調べる。調査結果は年内に同団体のホームページで公表する予定。
 同団体によると、PFASは米軍の泡消火剤やエンジン洗浄などに使われているが、発がん性が指摘され、分解されにくいため魚などへの生物濃縮も起きるという。沖縄県の調査では、米軍基地周辺の湧き水などで高濃度の値が確認され、基地から流出した泡消火剤との関連が疑われている。
 同団体は日本各地の米軍基地付近など38カ所でサンプルをとる予定。同団体代表で米国人のパット・エルダーさん(68)が同日、佐世保基地と前畑弾薬庫付近の川で採取した。米国の研究所に送って調べる。
 エルダーさんは27日、長崎市内で講演し、「米軍の活動と人の健康は両立しない」と強調。米国はPFASを含む泡消火剤を段階的に減らす方針だが、現状では使用が続いており「消火訓練や火事では使っていいことになっている。佐世保のような海軍の巨大港湾は安全を脅かされている」と警鐘を鳴らした。


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