中世の土坑墓170基 雲仙・国見の内屋敷遺跡で発見 長崎県内最多 「1カ所で多数は珍しい」 

発掘調査で170基以上の中世の土坑墓が見つかった内屋敷遺跡=雲仙市国見町

 長崎県雲仙市国見町の内屋敷(うちやしき)遺跡で、1500年代の中世の土坑墓(どこうぼ)が170基以上見つかったことが28日までに分かった。雲仙市教委は「1カ所で発見された中世の土坑墓としては県内最多。これだけまとまった数は非常に珍しい」としている。
 土黒川西側の丘陵地にある同遺跡では、農地基盤整備事業に伴う2018年の試掘調査で縄文時代の土器などを確認。昨年度から発掘が始まり、本年度は4月から10月中旬まで1150平方メートルを調査している。
 県内で複数発見された中世の土坑墓の数を市教委が調べたところ、小薗(こぞの)城跡(東彼東彼杵町)で4基、林ノ辻(りんのつじ)遺跡(諫早市)で3基(中世末-近世初頭)が確認されたという。
 内屋敷遺跡の土坑墓は最大で縦約1メートル、横約0.8メートル、深さ約0.6メートル。1930年前後、開墾によって地表面が削られたため、土坑墓が作られた当時はさらに大きかったとみられる。

土坑墓内から見つかった土師皿(雲仙市教委提供)

 土坑墓内からは、故人への供え物と考えられる複数の素焼きの皿「土師皿(はじざら)」をはじめ、五輪塔、鉄製品、人骨などが見つかった。市教委は「室町時代後期(約500年前)頃、100年間ほどで形成された墓地ではないか」と考察する。
 市教委の村子晴奈学芸員は「亡くなった人を丁寧に埋葬したいという当時の人々の思いが伝わる。どんな人が葬られたのか、歴史的背景も考慮する必要がある」と話した。
 このほか、縄文時代早期(約9千年前)の特徴的な土器「押型文土器」や室町時代の土器などが計500点以上見つかった。出土品は市歴史資料館国見展示館に保管し展示する方向。

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