ゴルフの全国大会で、広島・府中市の小学生が日本一に輝きました。将来の夢は「賞金女王」だという小学生ゴルファーの素顔に迫ります。
「フュッ(スイング音)、カキーン」
きれいなフォームから繰り出す大人顔負けの豪快なスイングをしているのは、府中学園小学校6年の 寺岡虹(こう)さんです。9月18日に三重県で行われた全国小学生ゴルフ大会女子の部で金メダルを獲得しました。
21日には府中市の 小野申人 市長に日本一になったことを報告しました。
全国大会には、国内のエリアごとの大会で上位の成績を収めるなどした44人が出場しました。
途中、雷雲の接近や降雨による中断もありましたが、寺岡さんは集中力を切らすことなく、ワンラウンドを72で回り、トップタイでした。広島県の選手が金メダルを獲得するのは、2018年大会以来、2人目の快挙です。
府中市 小野申人 市長
「こういうときにボールを、アプローチをどこへ。まず脚はどう構えるん? 平行に構えるん」
寺岡虹 さん
「ちょっとだけオープンスタンスにして、球を上げたいときはちょっとだけ開いて、左脚に…」
4歳で始めたゴルフ そして小学生日本一へ
寺岡さんは父・靖二さんの影響で4歳ごろからゴルフを始めました。瞬く間に上達し、広島県内や中国地方の大会で優勝を積み重ねてきました。
全国大会にもこれまで2回出場していますが、金メダルの獲得は今回が初めてになります。
この日、寺岡さんは福山市のゴルフ場を訪れ、実際のコースに出てコーチから指導を受けました。
クラブが正しい軌道で振れているか意識したり、バンカーなど難しいところからスコアをまとめたりすることに力を入れて取り組んでいます。
練習は毎日…。このコースでは週2日、ほかのゴルフセンターで週3日、クラブを握り、家でも体幹トレーニングもして努力を続けています。
寺岡虹 さん
「お母さんとか、いろんな今まで応援してきてくれた人たちが喜んでいたのでうれしかった」
楠和照コーチは、彼女がゴルフを始めてからおよそ7年間、見守ってきました。今回の金メダル獲得は、「物怖じしない性格が結果に結びついた」と話します。
楠和照 コーチ
「天性の球のさばきというか、感覚が優れているので、ほかの子より一歩抜けたところがあります」
「誰からも愛されるプロゴルファーに」
ゴルフをするときに見せる寺岡さんの真剣な表情も、学校へ行けば、どこにでもいる少女の姿に変わります。試合の遠征があるなど、多い月では4~5日学校を休んでしまうこともありますが、そんなときは移動の車の中で勉強するといいます。
寺岡さんは、1学期・2学期と学級委員長になり、同級生40人の意見をまとめ上げてきました。気さくで誰とでも仲良くなれる性格の寺岡さんはクラスの友人から慕われる存在です。
同級生
「優しくて、明るいので、一緒にいて楽しいです」
寺岡虹さん
「誰からも愛されるプロゴルファーになりたい」
それは寺岡さんが七夕の短冊に願い事として書いた思いです。
彼女には、「賞金女王」やメジャーの試合で勝つことも将来の夢として大切にしています。
寺岡虹 さん
― ご自身の性格はどんな感じなんでしょう?
「んー、負けず嫌い」
母親の早織さんによりますと、ことしに入ってから自分の思い通りにできなかった試合の後は、隠れて泣いてしまうこともあったといいます。それを乗り越えてきたのはみんなの喜ぶ姿が見たかったからです。
寺岡さんにはすぐ次の挑戦が控えています。10月22日に福島県である全国大会へ出場する予定です。
寺岡虹 さん
「優勝したいです。この前、勝ったから2位とか3位とかの人たちは次、勝ってやると思ってがんばっているので自分も負けないようにしたいです」
誰からも愛されるゴルファーになりたい…。そんな寺岡さんの笑顔のために、背中を押してくれる人はもっと増えていきそうです。