普及と育成 歯車徐々に/サッカーJFL ラインメール青森/裾野拡大へスクール続々

ラインメールのサッカー教室でボールを追いかける子どもたち=9月22日、青森市のときわ保育園

 日本フットボールリーグ(JFL)のラインメール青森が、サッカー人口の裾野を広げようと今年、園児や小学生向けのサッカー教室(スクール)を青森市内に相次いで開校した。一方、スクールに比べてより専門的な技術指導を受けられる育成下部組織「アカデミー」は小学生から高校生までの各世代でチーム活動を行っており、競技普及と育成強化の両輪が回り出している。

 「できた、できた!」。9月22日、青森市旭町のときわ保育園で園児10人がドリブルに挑戦していた。同園のスクールは9月にスタート。週1回の頻度でラインメールの田中憲司コーチ(44)らが同園を訪れ、ボールを使って体を動かす楽しさを伝えている。

 ラインメールは2013年に小学生対象のアカデミー「ジュニア」(U-12)、14年に中学生の「ジュニアユース」(U-15)を開設。21年には高校生の「ユース」(U-18)を設け、各世代の下部組織を整えた。これらのアカデミーには計約70人が所属している。

 一方、近年開校に力を入れているスクールは、筒井南小を拠点とする「筒井南校」を20年に立ち上げたのを皮切りに、今年になってはまなす会館が練習拠点の「はまなす校」、市内各地で活動する「通常校」、そして「ときわ保育園スクール」を相次いで開校。現在は計約50人が通っている。

 アカデミー、スクールとも世代ごとに指導陣をそろえ、レベルに応じた練習メニューを設定している。田中コーチは「クラブとして一貫した方針で各世代を教えられるのが利点。トップチームを身近に感じ、自分もサッカー選手になりたいという夢を持つ子も多い」と話す。

 4月からジュニアユースでプレーするGK沖崎俊介君(平内中1年)は「専属のGKコーチがいるのは珍しいから」と加入理由を語る。憧れはトップチームの守護神・廣末陸選手(青森山田出)。「試合で廣末選手のプレーを見て学べるのはうれしい」と笑顔を見せる。

 地域密着を重視するJリーグは、J参入に必要なクラブライセンスを受けるための条件の一つに、地域内でのアカデミー保有を挙げている。スクールの保有は条件ではないが、ラインメールにとって地元との関わりを持つ上で重要な取り組みとなっている。

 育成責任者に当たる渡辺卓アカデミーダイレクター(51)は「青森県はまだサッカー文化が根付いていない」と指摘。「アカデミーとスクールの活動を通して、サッカーやラインメールに親しむ人を増やしたい」と展望を語る。

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