1953年の水害を振り返る冊子作成 京都のカッパ研究会

南山城水害や台風13号の被害状況などをまとめた冊子(京都市内)

 京都府内の水に関する文化や環境について考える市民団体「カッパ研究会」が、1953年に発生した南山城水害と台風13号の記録をまとめた冊子「京都府の昭和28年水害を振り返る」を作成した。「災害で亡くなった人たちの命を教訓として、後世につないでいきたい」と思いを込める。

 カッパ研究会は2001年9月に府職員OBを中心にボランティア団体として活動を始めた。今回、府が発生から50年の節目に発行した冊子を基にして、一般向けに配布できるよう被害概要や写真などをまとめた。災害の特徴や当時の気象状況を振り返り、災害後の河川改修工事などを紹介している。

 南山城水害(8月14~15日)については各地の被災当時の写真を掲載している。決壊して甚大な被害を出した大正池(井手町)がコンクリートの堤体で復旧されていることなど、現在の河川の風景写真と解説を盛り込んだ。

 南山城水害から42日後に府内を襲った台風13号(9月24~25日)では、決壊した宇治川や浸水した舞鶴市などの被害の様相を伝えている。

 カッパ研究会の安田勝さん(66)は「被災者たちに思いを寄せ、安心安全に暮らせていることに感謝するきっかけになれば」と語った。

 冊子はA4判16ページ。千部発行。

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