帰りたいけど帰れない、今後が不安…ウクライナ難民の生の声を堀潤がルーマニアで取材

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。9月25日(月)放送の「New global」のコーナーでは、キャスターの堀潤が現地・ルーマニアからウクライナ難民のリアルな思いを伝えました。

◆堀潤がルーマニアにあるウクライナ難民施設へ

この日はルーマニアへ取材出張中のキャスターの堀潤から、現地にいるウクライナ難民の方々を取材したレポートが到着。その模様を放送しました。

堀はルーマニアの首都ブカレストの中心街から車で少し離れたところにある古い学生寮へ。そこは現在、ブカレスト市がユニセフ(国際連合児童基金)の支援を受け運営している「テイ難民センター」となっており、ウクライナから避難してきた方々を受け入れています。今、そこで暮らしているのは約110人。そのうち半数が幼い子どもで、大半が母子家庭です。

施設内には子どもの年齢に応じた部屋が設けられ、例えば3歳以下の子どもたちが遊ぶ部屋には遊具のほか、ベビーフードなども完備。

ユニセフがさまざまな年齢に応じた、きめ細かなサポートをしています。また、ウクライナ語の授業をオンラインで開くなど教育面の支援をおこなうと同時に、精神面のケアも実施。

ユニセフ緊急コミュニケーション・スペシャリストの根井さんに話を聞いてみると「(みんな)トラウマを抱えて避難してきているので、子どもたちにはアートセラピーやダンス、演劇などを通じてセラピーをすることで専門家がどういったことにトラウマを抱え、どういうストレスを抱えているのかを判断し、そこをヒーリング、解きほぐしています」と子どもたちへの対応について答えていました。

◆「家に帰りたい…」ウクライナ難民の切なる思い

今回、堀は取材中に1組の家族と出会いました。母親のスベタさんは去年9月、3人の娘と着の身着のままバスに乗り込み、ルーマニアに到着したそうで、ここでの生活について尋ねると「娘たちの生活に必要なものが揃っています。テレビ、ノートパソコン、タブレットもあります。必要なものはボランティアが用意してくれます。危険はありません。神に感謝しています。全てが順調です。ここはとても静かで良い場所です。ウクライナと比べると安心して一晩中眠ることができます」と感謝の言葉が。

堀が、ウクライナの現状、とりわけ核への危険を感じることがなかったか聞いてみると、スベタさんは「(核兵器などは)確かに怖かったです。戦争が終わることを願っています。家に帰りたい」と本音を明かします。

さらには、「(家族が住む)ウクライナのイズマイールは爆撃されたのか? あのような恐怖は我慢できない」とも。ウクライナに残る家族の安否は分かっていないそうで、スベタさんは涙ながらに語ります。

また、「このセンターで暮らし続けられるのか(資金的な)大きな問題があります」との不安の声も。この難民センターの予算は年内までしか目処が立っておらず、スベタさんは病気の子どもを抱えるなか、ルーマニアでは言語の壁もあり職探しも困難。行き場のない不安を抱えています。

一方、夫を戦争で亡くし、2歳の息子・アキームくんと一緒にセンターで暮らすモルカノヴァさんに今後について聞いてみると「将来的にはウクライナに戻るとは思います」と回答。ただ、「明日帰国しても経済が安定することはすぐにはないので、住む場所など計画を立てる必要があります」と懸念の言葉が。

そして、愛息子のアキームくんについては、人々に触れ、ただ幸せであることを心の底から望みつつ、援助があり、難民に対する差別がないことを願っていますと目に涙を浮かべ、話していました。

◆今、ウクライナ難民に対してできること…

今回の取材を通じて、堀は「避難を続けてきたお母さん方が淡々と振り返りながらも、やはり子どもたちの未来のこと、故郷に戻れない現状を語っているときには自然と涙がにじんできていて、その様子を見ていると僕らはウクライナで起きているこの戦争、故郷を追われた人たちの暮らしをもっと共有できるはずだと確信した」と率直な思いを述べます。

さらには、「僕らが思っている以上に戦争の脅威は身近なもので、それだけに子どもたちが故郷から離れた場所で将来どんな選択をするのかを支える大人たちの活動がいかに大切か感じた。日本からできることはまだまだたくさんあるんじゃないかということをすごく感じる」と思いを吐露。

そして、「おそらく(日本の)多くの人たちはルーマニアでこうした支援をしていることを知らないと思う」と語りつつ、「ユニセフの方々も話していたが、戦争が長引くにつれて、記憶も支援も減ってきている現状に対し、とにかく多くの人たちに伝えないといけない。そういった危機感もひしひしと伝わってきた」と締め括っていました。

堀のレポートに、フリーアナウンサーの荘口彰久さんは「日本にいると『アメリカから新しい戦車が届くぞ!』とか『(ウクライナが)領土を奪還した!』とか、『ゼレンスキーがこう言った!』とかばかりですが、最も被害を被っている人がいることを実感した」と感想を語ります。

キャスターの豊崎由里絵は「忘れてはいけないことなのについ忘れてしまう。(避難された方々の)この先を考えると本当に胸が苦しくなる」と心を痛めます。

戦争が長期化し、欧米では徐々に気持ちが冷めてきているのではないかという報道が一部でありますが、ドイツ公共放送プロデューサーのマライ・メントラインさんは「私の印象は逆で、気持ちが冷めているというか戦争が長期戦になり疲れは出ているが、難民はドイツにもたくさんいて目の前にいる。だから忘れることはない」と話します。その上で「ただ、どうやって支援していくか。仕事探しをどうサポートできるのか。子どもがいるママはハードルが高く、自立しようとしてもなかなかできない現状があるなか、どう援助するのか、誰が資金を出すのかなどいろいろな問題がある」と苦慮。

NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星さんは、ウクライナ難民は他の難民とは違うと指摘。彼らは識字率が高く、高学歴。公教育を受けている人が多いとし、「それが他国との違いなので、そのスキルを活かしていく支援は各国もっとやれる幅がある気がする」と今後の支援に期待していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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