県内自治体に前年度比3.1倍の3億9329万円 22年度、企業版ふるさと納税寄付額

 「企業版ふるさと納税」制度を使い、県内自治体が2022年度に企業から寄付を受けた額が、前年度に比べ3.1倍の計約3億9329万円となった。自治体数は16から27に増加した。20年度から寄付した企業の税軽減額が引き上げられたことが追い風となり、各自治体は受け入れ拡大に力を入れている。

 内閣府と県企画調整課のまとめによると、22年度実績は、県が1773万円、26市町村が計3億7556万円。市町村の最多は新庄市の1億1039万円で、小国町5120万円、山形市4570万円と続いた。

 県には16社から寄付があり、金額は19年度比で14.5倍。東北農林専門職大学の整備、置賜農業高の農業用機械購入、交通事故防止策などに活用した。県は内閣府主催のマッチングに参加したり、企業向けチラシを作成したりし、制度のメリットをPRしている。

 新庄市は寄付額1億円の1社を含む5社から受け入れた。若い世代の移住・定住促進や結婚・出産・子育て・教育支援の事業費に充てた。総合政策課の担当者は「市だけではできない事業を民間の後押しを得て推進していきたい」と語る。

 小国町は4社から受け、総合センター改築に合わせた地域活性化計画の経費や災害復旧、道の駅の環境整備などに役立てた。同制度での寄付受け入れは22年度が初めてで、佐藤友春総務企画課長は「財政力の弱い地域にとっては大変ありがたい制度だ」と話す。

 外部との連携の動きもある。22年度寄付額が700万円だった米沢市は今年4月、取引先企業に対象事業を紹介してもらう契約を山形銀行と結んだ。米沢ブランド戦略課は「銀行のネットワークで企業に制度と対象事業を知ってもらうことで、寄付につなげたい」と期待する。

◆企業版ふるさと納税(地方創生応援税制) 国が認定した自治体の地方創生プロジェクトに企業が寄付した場合、法人関係税が軽減される仕組みで、2016年度に始まった。最大6割だった軽減効果は20年度から最大9割まで引き上げられた。金額の下限は10万円。本社が所在する自治体には寄付ができない。

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