佐賀から生まれる「にっぽんの宝物」 水害に強いトマト世界準GP 農業生産法人アグリッシュ(唐津市)受賞 浸水時に苗箱浮く栽培法確立

「にっぽんの宝物 世界大会」で準グランプリに輝いたアグリッシュの吉田章記さん=唐津市役所

 浸水時に苗箱が浮き、水害を免れる独特の手法でトマト栽培を手がける唐津市の農業生産法人「アグリッシュ」の吉田章記社長(45)が、シンガポールで開かれた「にっぽんの宝物・世界大会」の「挑戦による進化部門」で準グランプリを受賞した。

 吉田さんは福祉の世界から農業に転身。2018年から2年連続で受けた浸水被害をきっかけに、「ノアの箱舟」から着想を得た独自の農法を確立した。トマト「太陽のたまもの」は濃厚な甘さと酸味のバランスに優れ、ジュースを含めて東京都のホテルなどに出荷している。

 2月下旬に東京都で行われた全国大会の「最強素材&加工部門」でグランプリを受賞。8月に開催された世界大会は19~22年度の全国大会で優秀な成績を残した26社が5部門に分かれ、シンガポールのシェフや投資家、起業家らから審査を受けた。

 トマト苗を「浮かせる」吉田さんの栽培法は、今年4月に内閣官房がまとめた「国土強靱(きょうじん)化民間の取組事例集」に採用された。世界大会のために栽培したトマトは猛暑の影響を受けたものの、「水害に強い農法として品質を認めてもらい、自信になった」と振り返った。

 吉田さんは9月下旬に峰達郎市長を表敬訪問し、「小さな農家でも、可能性があれば海外市場に挑戦しないといけない。他の生産者とともに地域ブランドごと売る、という取り組みも必要と感じた」と語った。(松岡蒼大)

シンガポールで開かれた「にっぽんの宝物 世界大会」で準グランプリに輝いた吉田章記さん(奥右)
「にっぽんの宝物 世界大会」で準グランプリに輝いたアグリッシュの吉田章記さん(奥)=唐津市役所

© 株式会社佐賀新聞社