プロ野球ファームリーグ新規参入内定の「ハヤテ223」が静岡市などに報告

プロ野球ファーム(2軍)リーグへの新規参入が内定した「ハヤテ223」が、10月2日、静岡市などに「参入内定」を報告しました。

新球団の誕生に期待の声があがる一方、球団の運営については課題が山積しています。

(NPBオーナー会議 後藤 高志 議長)

「ファーム拡大審査結果が報告され、オーナー会議として了承した」

先週行われたプロ野球12球団のオーナー会議で、ファーム(2軍)リーグへの新規参入が内定した、静岡市を本拠地とする「ハヤテ223」 来シーズンから、主に西日本を本拠地にもつチームでつくる「ウエスタン・リーグ」に加わることが決まりました。

2日、「ハヤテ223」の杉原社長らが、静岡市役所を訪れ「参入内定」を報告しました。

(ハヤテ223 杉原 行洋 社長)

「これからもご支援いただきまして、市民や県民の皆様に夢を与えられるような球団づくりを一緒にさせていただけたらと思う」

2011年に田辺 前市長が「プロ野球球団の誘致」を掲げてから12年。“悲願”となる新球団の誕生に、地元住民からも期待の声が…。

( 静岡市民)

「球団ができることによって、野球で育ってきた人間としては、地元愛が高まって成長する球団になってほしい」

( 静岡市民)

「どんな選手が来るのか気にはしている、静岡はプロ野球チームがないから、ここにできるのはいいと思う」

期待の声が寄せられる一方で、来シーズンの開幕までわずか半年に迫る中、課題は山積みです。プロ野球に詳しいスポーツライターの生島淳さんは「2軍戦のみに参加するため有望な選手を確保するのは難しい」と話します。

(スポーツライター 生島 淳さん)

「10月に予定されているドラフト会議に、参加しないということになる、つまり有望な選手を獲得していくということが、極めて難しい状況、現実的に、既存のプロ野球の2軍と戦うのは結構厳しい、その辺りの編成を、どうしていくのか、大きな課題になっていくと思う」

一方、ハヤテ側は、2日、会見を開き、選手確保のため11月3日と4日に、清水庵原球場で球団独自のトライアウトを開催すると発表しました。また、新球団の監督については5人~10人の候補者に絞り込んでいることを明かしました。

(ハヤテ223 杉原 行洋 社長)

「(過去)最多セーブをとった投手やメジャーリーグに挑戦した選手、4桁安打を打っている名選手にコンタクトして話をしている。他のスポーツで功績をあげている皆さまにも興味を持ってもらって、新しい角度の挑戦ができたら」

しかし、課題は、チームの編成以外にも…。

(佐野 巧 記者)

「こちらが『ハヤテ223』の本拠地となる清水庵原球場です、ナイター設備やフェンスの高さなど改修の必要性が指摘されています」

本拠地となる清水庵原球場の改修に加えて、NPB=日本野球機構は参入の条件として、室内練習場や選手寮の整備などを求めています。今後、求められる施設面の整備について、ハヤテ側は…。

(ハヤテ223 杉原 行洋 社長)

「市営球場を使わせていただく立場、我々からお願いするというよりは、そういった声を届けて、市民に判断いただけたら」「室内練習場については、草薙球場に屋内練習場の素晴らしい施設がある、これをなんとか使わせてほしいという話をしている」

そして、2日「ハヤテ223」の杉原社長は、川勝知事を表敬訪問しました。

( 川勝知事)

「(県民を)代表して心からお礼を申し上げたいと。本当に良かった」

会談後、川勝知事は「草薙球場の屋内練習場を使ってほしい」と話すなど、新球団の運営をサポートすることを約束しました。

( 川勝知事)

「県営の施設を使っていただきたいと申し上げている、草薙にしても雨天練習場もある、プロ仕様になっている、そこを通して『ハヤテ223』の名前が知られることは大事」

静岡に誕生するプロ野球2軍の新球団。課題も山積する中、県や静岡市と協力し、どのような準備を進めていくのか注目されます。

2024年 春からの参入を目指す「ハヤテ223」ですが、参入には大きな課題があります。それが「所属選手をどう集めるのか?」「本拠地となる清水庵原球場の受け入れ態勢は?」

この課題について、これまでに分かっていることをまとめます。

まずは「所属選手の集め方」です。「ハヤテ223」は現在、監督や所属選手がおらず、チームとしては形がない状態です。毎年行われているドラフト会議へは、1軍球団を持たないため参加はできません。そのため既存の12球団と同じような有望な選手の獲得は難しい状況です。11月3日・4日に独自のトライアウトを行うと話しました。実際にどのような選手が集まるのか未知数です。

2日の会見で“ハヤテ”は目安として、所属選手の8割程度は育成を目的とした若手選手で、その他の2割を、プロ野球の経験者や外国人選手などの即戦力で構成する予定だと話しています。

2つ目の課題は、ホーム球場となる「清水庵原球場」の受け入れについてです。清水庵原球場は、新東名高速・清水いはらICから車で5分ほどのところにありますが、駐車場は臨時駐車場も含めると、約500台分。庵原球場の内野席は4000席もありますので、十分とは言えない数です。

また、バスの場合は、JR清水駅から行くと、20分程度ですが、1時間に1本程度しか運行していません。こうした課題に、庵原球場を運営する静岡市は、シャトルバスの運行や駐車場の拡大などを検討しているということです。

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