「長期滞在で青森の魅力感じて」 1日1組限定ホテルを開業へ 三上さん、弘前市百沢地区に来春

来春開業予定のホテルの前で笑顔を見せる三上さん

 青森県弘前市出身で、3カ国のホテルで修業を積んだ三上未夢(みゆ)さん(26)が、来春、同市百沢地区に1日1組限定のホテル「OTTABIO(オタービオ)」を開業する。長期間の休みを取って旅行する人をターゲットに「ゆっくりと滞在し、青森の日常の中にある魅力を感じてもらえる場所になれば」と話す。

 夢の始まりは、高校卒業後に関西地方のゲストハウスを泊まり歩いた時。訪れた人と地元の人が交流し、全員が楽しそうにしていた。「大好きな青森にこんな場所をつくりたい」と一念発起、ホテル経営を基礎から学ぶためスイスの大学に3年間留学した。同国やメキシコ、コスタリカのリゾートホテルで働くうちに、ホテルは「客も地域も幸せにできる場所」だと知った。

 学びを通して、海外富裕層をターゲットにした長期滞在型のホテルを開こうと思いついた。「海外では長期休暇を取って旅行し、心身ともにリフレッシュするという考え方が一般的。青森ののどかな景色の中で過ごしたいというニーズはきっとある」と語る。

 2022年にUターン、お山参詣や湯治文化が残る岩木山麓で開業するため、百沢温泉斜め向かいの別荘兼保養所として建てられた建物を購入した。ホテルでは地元企業が作った家具に囲まれながら、腕利きのシェフによる料理が堪能できたり、案内人にマンツーマンで岩木山神社や白神山地を案内してもらえたりといったサービスを考えている。

 7月に建物を取得し、今はともに活動する妻神和(さいかみ・のどか)さん(26)らと、ホテルの家具やアメニティーを買いそろえ、敷地内の環境整備を進めている。

 三上さんは「一年を通じて青森には魅力的な観光資源がある。宿泊者と地域をつなぐサービスを提供したい」と意気込む。

 開業資金として目標金額400万円を目指し、31日までクラウドファンディングで寄付を募っている。

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