走行中の新幹線内で初 県警とJRが合同訓練 不審者対応や避難誘導確認

刃物を持った犯人役を追い詰める警察官=3日午前10時20分、JR小山駅

 栃木県警とJR東日本は3日、JR宇都宮-小山駅間を走行中の東北新幹線内で、刃物を持った男が乗客に襲いかかる想定の合同訓練を行った。走行中の新幹線を使った合同訓練は初めてで、不審者への対応や110番、乗客の避難誘導などを確認した。

 2021年に京王線特急で乗客が刃物で刺された事件を受け、連携強化の一環で実施。小山署員やJR職員の計約120人が参加した。

 訓練は、男が座席での電話を別の乗客に注意され、激高した設定。警察官がふんする男が大声をあげ、刃物を取り出して乗客に襲いかかろうとした。乗客が押した「SOSボタン」で非常事態を知った車掌と運転手は無線で同社内に情報を共有。乗務員らが110番する流れを確認した。

 車掌は男に「刃物を下ろしてください」などと声をかけ、乗務員は乗客を別の車両に誘導。小山駅に到着すると、警察官が新幹線内で男を取り押さえた。

 訓練後、小山署の大森雄生(おおもりたけお)署長は「警察官の動きを確認する有意義な訓練になった」。JR東日本の高橋純世(たかはしすみよ)新幹線統括本部ユニットリーダー(46)は「新幹線は駅間が長く、非常時は最寄り駅まで行くか停止するか判断が大切。訓練を重ねて対応力向上に努めていく」と話した。

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