洋上風力「促進区域」に青森県沖日本海南側 県内初指定、年内にも事業者公募

 経済産業省と国土交通省は3日、洋上風力発電を優先的に整備する「促進区域」として、つがる市、鯵ケ沢町沖の「青森県沖日本海南側」海域を正式に指定した。前段の有望区域から促進区域への格上げは県内初。今後は発電事業者の公募に向けて国が指針を作成し、早ければ2023年内にも公募が始まる見通し。

 促進区域は再エネ海域利用法に基づき、同時に指定された山形県遊佐町沖と合わせて全国で9、10例目。青森県沖日本海南側は1万375ヘクタールで、着床式の発電事業は60万キロワット規模を見込む。地元の利害関係者らで構成する法定協議会が7月末、事業者に求める地域振興策などについて合意していた。

 年内にも開始される公募の期間は原則6カ月。さらに審査などを経て発電事業者が決まる。促進区域指定に伴い、国は事業者に発電を30年間許可する。日本海南側は現在までに、8事業者が環境影響評価(アセスメント)に着手している。

 同海域の指定に関する国の有識者会議では、基準適合に異論は出なかった。一方、洋上風力発電の建設拠点となる「基地港湾」に関し、県内にはまだ指定を受けた港湾がないため、「追加的に整備しないと事業を円滑に進めることが難しくなる」との指摘もあった。

 政府は脱炭素を進める上で、洋上風力発電を再生可能エネルギー普及の柱に据える。30年までに1千万キロワット、40年までには最大で原発約45基分相当の4500万キロワットの導入を掲げる。

 国は3日に有望区域、その前段に当たる準備区域の海域も公表。県内関係は従前通り、青森県沖日本海北側が「有望」、陸奥湾が「準備」にとどまった。「まだ協議会開催について調整中だったり、利害関係者の地元調整が進んでいない」(国交省)ためという。

 陸奥湾での発電計画を巡っては衆院議員・秋本真利被告が、日本風力開発の前社長(贈賄罪で在宅起訴)に依頼された同海域に関する国会質問などの見返りに賄賂を受け取ったとして、受託収賄罪などで起訴されている。

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