仮想美術館、学生がお披露目 帝京大と文星芸大 地域活性化へ応用検討

専用のゴーグルを付け、仮想美術館の中を案内する学生=3日午前、帝京大宇都宮キャンパス

 帝京大宇都宮キャンパス(宇都宮市豊郷台1丁目)と文星芸術大(宇都宮市上戸祭4丁目)は3日、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用した「仮想美術館」を制作したと発表した。宇都宮美術館を参考に両大の学生が制作し、実際に館内にいるような体験ができる。空間の制約がなく、さまざまな作品を展示でき、今後は本格的な仮想美術館の開設も含め、地域活性化への技術の応用を検討していく。

 両大は2022年度、主専攻とは別の専門分野を大学の枠を超えて学ぶ「共同副専攻制度」を導入。仮想美術館の制作は共同開講のデジタルマンガ制作演習の一環。22年度から構想を練り始め、大学生と大学院生の4人を中心に23年度から本格的に制作を始めた。

 文星芸大生が3Dで美術館をデザインし、帝京大生が仮想空間に美術館を立ち上げた。実際に宇都宮美術館を訪れ設計に生かした。

 仮想美術館には照明や窓、ベンチなどが配置され、美術館の雰囲気が再現されている。絵画など実際のアート作品のデータを取り込めば、作品を展示することができる。この日は文星芸大の学生の漫画やイラストなど約25作品が並んだ。

 専用ゴーグルを付けると、自身の分身のキャラクター「アバター」として仮想空間に入り込める。コントローラーを操作し移動したり、展示された漫画のページをめくったりできる。

 帝京大大学院総合理工学専攻2年の松本拓未(まつもとたくみ)さん(23)は「光の当たり具合など再現するのが難しい部分もあったが、仮想美術館には気軽に入れる良さがある」と話す。文星芸大美術学部4年の高橋銀次郎(たかはしぎんじろう)さん(22)は「自分がつくった世界に入れるのは夢のよう。帝京大の技術を借りて、実現することができた」と笑顔を見せた。

 今後は宇都宮美術館と活用の在り方を協議する。佐々木吉晴(ささきよしはる)館長(66)は「新たな技術により子どもたちが美術作品に触れる機会を提供したり、世界中の人を呼び込んだりできる可能性がある。アイデアを出し合いながら一緒に考えていきたい」と期待を寄せた。

学生の作品が並ぶ仮想美術館(帝京大、文星芸大提供)

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