国重文の旧銀行や武家屋敷… 青森・弘前市の歴史的建造物をホテルに 市など協定

弘前市など3者が宿泊施設などとしての活用を目指す(上から)旧第五十九銀行本店本館、武家屋敷の一つ・旧笹森家住宅の内部、旧弘前市立図書館
連携協定書に調印する(左から)石川副社長、桜田市長、今井会頭

 青森県弘前市は、国指定重要文化財の旧第五十九銀行本店本館(青森銀行記念館)や弘前藩の武家屋敷など、市内に現存する歴史的建造物をホテルとして活用し、他にはない宿泊体験で富裕層やインバウンド(訪日客)などを呼び込む。3日、早期実現に向けてプロクレアホールディングス(HD)や弘前商工会議所と連携協定を締結した。

 市など3者は、受付や客室、食堂などを複数の歴史的建造物に分けて配置する「分散型ホテル」を想定。収益の一部を施設の維持管理費などに充てる。復元天守での宿泊体験を核とする、年間総売上1億6千万円の「大洲城キャッスルステイ」(愛媛県大洲市)をモデルにした。

 弘前市内には、青銀記念館や武家屋敷の旧笹森家住宅(国重文)、旧弘前市立図書館(県重宝)など歴史的建造物が多数点在。元料亭「翠明荘」(国登録有形文化財)など民間所有の施設も多く、それぞれ多額の維持管理費が課題だ。今回の取り組みは、課題解消の一助として期待される。

 市はホテル運営に向けた政策づくりや財源の確保、商議所は地元関係者との調整などを担当。プロクレアHDからは傘下の青森銀行、みちのく銀行、コンサルティング会社のあおもり創生パートナーズも参加し、事業・資金計画の策定などに取り組む。

 3日の締結式は青銀記念館で行われ、桜田宏市長とプロクレアHDの石川啓太郎副社長(青銀頭取)、弘前商議所の今井高志会頭が協定書に署名した。

 桜田市長は会見で「和と洋の歴史的建造物に泊まれる街として売り込む。協定を機に取り組みを加速させ、できるところから(分散型ホテルを)実現させたい」と力を込めた。

 同市では「旧第八師団長官舎」(国登録有形文化財)に大手コーヒーチェーンのスターバックスが出店しているほか、藤田記念庭園洋館(同)や旧東奥義塾外人教師館(県重宝)などがカフェとして活用されている。

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