点字付きの駒を握って真剣勝負 視覚障害者と高校将棋部員の対局実現

視覚障害者向けの将棋の道具を使って対局する吉岡さん(左)と谷口さん=京都市中京区・みぶ身体障害者福祉会館

 京都市内の障害者や高齢者の将棋愛好家でつくる「壬生将棋サロン」が、このほど京都市中京区のみぶ身体障害者福祉会館で嵯峨野高校(右京区)の将棋部員を招いた交流戦を行った。高校生と視覚障害のあるサロンメンバーが視覚障害者用の駒や将棋盤を使って対局し、熱戦を繰り広げた。

 交流戦は嵯峨野高校OBのサロンメンバーが同高校に提案して実現。この日は同高校から5人が参加した。

 最初にサロン所属の吉岡知輝さん(23)=中京区=と、同高校1年谷口壮真さん(15)=右京区=が公開対局を行った。点字の付いた駒と、指で位置を確認できるようマス目に凹凸を付けた将棋盤を使い、真剣な表情で指した。

 吉岡さんはボランティアに相手の指し手を読み上げてもらったり、持ち駒を尋ねたりしながら対局を進めた。隣でサロンのメンバーが大盤を使ってその様子を実況し、25人の参加者が食い入るように見つめていた。途中、谷口さんは頭を抱える様子もあったが、最後は勝負を制した。

 谷口さんは「点字駒など道具が工夫されていて驚いたが、真剣勝負で楽しめた」と話し、吉岡さんは「普段はサロンのメンバー以外と対戦する機会がないので、緊張したが面白かった」と満足した様子だった。

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