金沢・三口新町の住宅街にクマ 未明目撃、ふん確認 捜索も見つからず

クマが目撃された住宅街=4日午前9時40分、金沢市三口新町2丁目

 4日午前3時20分ごろ、金沢市三口新町2丁目の市道で、体長1.2メートルほどのクマを新聞配達員が目撃し、110番通報した。市職員と猟友会員が付近を調べたところ、約200メートル離れた路上でふんを確認したが、クマは見つからなかった。現場は住宅密集地で南小立野小や城南中にも近く、登校時間帯には金沢中署員らが警戒に当たった。付近の住民は「まさかこんな所に出るとは」「怖すぎる」と声を震わせた。

  ●学校に注意喚起

 クマが目撃されたのは城南中から東に約550メートル、南小立野小から北に約500メートルの住宅街。午前5時ごろ、金沢中署から連絡を受けた市職員と猟友会員の4人が現場に集まり、周囲が明るくなるのを待って午前6時から捜索を開始した。

 猟友会員らは午前6時15分ごろ、三口新町1丁目でふんを確認。その他にクマの痕跡は見つからなかった。市によると、現場の南側には犀川が流れ、北側に小立野台地があることから「どちらかから移動してきた可能性がある」(森林再生課)という。

 市は目撃情報を受けて城南中に連絡するとともに、午前7時ごろ、防災無線で崎浦地区全域に注意を呼び掛けた。同校はメールで保護者に通知し、教員は街頭に出て登校する生徒を見守った。4日は部活動を早めに切り上げ、暗くなる前の下校を促す。

 南小立野小では同日、授業参観を行っており、保護者と一緒に帰るよう児童に呼び掛けた。登校時は通学路6カ所に見守り隊を配置し、保護者には一斉メールで注意喚起した。

 現場近くに住む70代女性は「近くの公園に行くだけでも用心しなければ」と驚いた様子で、ふんが見つかった場所の近くに住む70代女性は「怖くて夜は出歩けない」と不安そうに話した。

  ●前年より目撃減も「対策徹底を」

 石川県によると、県内では今年、9月末までのツキノワグマ目撃件数が141件(前年同期220件)となっており、このうち金沢市は33件と最多49件の加賀市に次いで多い。

 昨年に比べて目撃は少なく、人身被害も発生していないが、県の担当者は「生息していることに変わりはない。対策を徹底してほしい」と話した。

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