収賄容疑で滋賀・栗東市の元部長を逮捕 土地売買絡み便宜図り、無金利で300万円借りる

関係資料を捜索する滋賀県警の捜査員(4日午後8時40分、栗東市役所)

 滋賀県栗東市が整備する産業拠点の土地売買に絡み、便宜を図った見返りに土地所有者団体の代表から無金利・無担保で現金300万円を借りたとして、滋賀県警捜査2課と草津署などは4日、収賄の疑いで、栗東市の元産業経済部長の男(61)=大津市=を逮捕した。また贈賄の疑いで、会社役員の男(73)=栗東市=を逮捕した。県警は2人の認否を明らかにしていない。

 元部長の男の逮捕容疑は、栗東市産業経済部政策監だった2021年7月28日、市が産業拠点として整備し企業誘致を目指していた「栗東ニューテクノパーク」の土地売買で、開発地の土地所有者でつくる「六地蔵山管理委員会」委員長の会社役員の男に有利な取り計らいをしたことへの謝礼と知りながら、会社役員の男の自宅で300万円を無金利・無担保で借りた疑い。

 同パークは栗東市が同市六地蔵、伊勢落で01年3月から計画をスタートさせた。国道1号バイパス沿いで名神高速道路にも近い交通の便を生かし、工場や物流の新産業拠点を目指している。総面積は約90ヘクタールでうち約50ヘクタールを工場などの用地としての活用を予定する。

 六地蔵山管理委員会は百数十人ほどの土地所有者で構成される。捜査2課によると、元部長の男は企業や土地所有者の調整を担当していた。同委員会の土地は広大な上に造成が要ることなどから長年買い手がつかなかったが、数十億円規模で売買が成立し、医療機器メーカーの関連会社が工場を建設中という。

 元部長の男は1981年に入庁。2021年に産業経済部政策監、22年に同部長に就き今年3月に定年退職。今は土地開発や造成のコンサルタント会社を経営しているという。竹村健市長は「元職員が逮捕されたことは大変遺憾、深くおわびする」とコメントした。

■滋賀県警が市役所を家宅捜索

 滋賀県警は容疑を裏付けるため、4日午後8時半ごろから、栗東市役所を家宅捜索した。栗東ニューテクノパークを担当する企業立地推進課には、捜査員約20人が段ボール箱を持って入り、同課の棚の中にある関係資料などを調べ、押収した。

 元部長の逮捕について同課の課長(53)は「うわさなどは聞いておらず、寝耳に水でびっくりしている。捜査には協力したい」、別の男性職員(50)は「まさかと思った。職員として職務を全うしていたと思っていたのに、非常に残念」と話した。

滋賀県警

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