過大な投資が裏目に 民事再生申請のアペックス 過去10年で最大の負債92億円

民事再生法の適用を申請したアペックスの本社=金沢市東蚊爪町

  ●営業は継続「年内に計画案」

 3日付で東京地裁に民事再生法適用を申請した食品運送業アペックス(金沢市東蚊爪町、沖野幸一代表)の負債総額は約92億円に上った。石川県内では過去10年で最大となる。アペックスは物流センター新設やM&A(企業の合併・買収)など積極的に業容を拡大したものの、想定する収益を上げられず、過大な投資が裏目に出る格好となった。代理人弁護士は取材に「再生計画案は年内をめどに策定したい」と述べた。

 アペックスは今後、営業を継続しながらスポンサー企業を探す。従業員約200人の雇用は継続する予定。関連会社も事業を続ける。

 代理人弁護士によると、当面の資金繰りとして、一部の金融機関に、申し立て後の再建を手助けしてもらうつなぎ融資「DIPファイナンス」を打診している。

 東京商工リサーチ、帝国データバンク両金沢支店によると、アペックスは1976(昭和51)年創業で、低温流通を軸に北陸三県の食品スーパーやコンビニなどの食品配送を手掛けた。

 数億円規模の物流センター新設や車両購入などで積極的に設備投資を行っていた。2023年3月期の売上高は約47億9200万円を計上し増収だったが、金融機関からの借入金に依存しており、投資に見合う収益が上がらない中で借入金負担が重くなっていった。

 運送会社やタクシー会社など10社以上をM&Aで子会社化したものの、本業との相乗効果が得られず、今年9月末に元利返済が困難となった。

 アペックス傘下には、タクシーや貸し切りバス事業の「なるわ交通」(金沢市)や、温浴施設の「和おんの湯」「天然温泉 湯来楽(ゆらら)内灘店」の運営会社が入っている。

 同社は10日、金沢市堀川新町の井門金沢ビルで債権者説明会を開く。

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