“最後”の運動会 胸に刻む 来年度休校予定 西海・平島小中 島を挙げ、児童生徒と住民が競技や応援

「平島ソーラン」を披露する児童生徒ら=西海市崎戸町、市立平島小中

 西彼杵半島西方の五島灘、西海市の平島にある市立平島小中(山田芳幸校長)の運動場で1日、児童生徒と住民による「平島大運動会」があった。子どもたちがいなくなるため、150年の歴史がある同校は来年度休校する予定で、島を挙げての運動会は最後となる可能性が高い。島民ら約90人は競技などに出場したり、応援したりしながら、思い出を胸に刻み込んだ。
 大漁旗や万国旗がにぎやかに飾られた運動場に掲げられた大会スローガンは「輝け!裕(ゆた)かな笑顔で美しい海・空へ」。中学3年の合田海斗さん、林利空さんと、林さんの妹で小学5年の美羽さん、4年の裕依さんの4人の名前から一文字ずつ取った。
 林さんきょうだいの選手宣誓で熱戦に火ぶた。参加者は徒競走や玉入れ、紅白対抗リレーなどのほか、紙の魚を釣るなど趣向を凝らした種目も。子どもたちは一輪車のパフォーマンスや教諭と一緒になって「平島ソーラン」を元気いっぱい披露した。
 来賓の杉澤泰彦市長や渡邊久範教育長らも競技に参加。島民も輪になって「平島音頭」を踊った。いつもは静かな運動場が歓声と笑い声に包まれた。

「平島音頭」を踊る参加者

 平島は82世帯、122人(8月末現在)。同校は1874年、初等平島小として発足、1947年に小中併設となった。同校の記録によると、61年には371人が在籍した。本年度児童のうち、島内最年少で9歳の林裕依さん姉妹は、来年度本土に転校。今のところ転入生などの予定はない。
 大運動会は、子どもの成長の見守りと地域の親睦を目的に、同校と地元公民館などが実行委をつくり開いていた。林嘉幸公民館長によると今後、形を変えて実施する予定はないという。
 卒業生でもある林公民館長は「いい思い出になった。惜別の念に堪えない大会で、本当に名残惜しい」と寂しさをのぞかせながら閉会を宣言。林利空さんは「思う存分、楽しめ、9年間の中で最高の運動会だった」と晴れ晴れとした表情で話した。

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