年末年始の商戦を見据えた、水産物や加工食品の総合展示会が4日、山形市の山形国際交流プラザで開かれた。新型コロナの5類移行に伴い人流は戻りつつあるが、主催者は「加工品は価格が上がり、コスト上昇が尾を引いている」と指摘する。水産物の高級食材はは水揚げ量が増えた一方、経済の停滞で海外需要が落ち込み、価格は2~4割下がっている。
展示会は卸売業の山形丸魚(天童市、鈴木徹郎社長)が主催し、小売店や飲食店のバイヤーなど約600人が来場した。県内外の約130社が出展し、鮮魚や水産加工品などが並んだ。「最近は海外経済の減速に伴って国内への供給量が増え、カニやイクラ、マグロ、ブリ、サーモンは値下がり傾向にある」と、同社の堀江幸夫水産統括部長は説明する。コロナ前は海外富裕層の人気が集中し、高級水産物は値段が高止まりしていたが、以前より買い求めやすくなっているという。
その半面、原材料価格や燃料費、物流コスト、人件費の高騰の影響を受けているのが、コイの甘露煮や棒だら、だて巻き、昆布などの加工品だ。本県のおせち料理に欠かせない食材で、いずれも1~2割ほど値上がりしている。家庭にとっては「よく使う食材」の高値が響きそうだ。
バイヤーも物価の高騰に頭を悩ませている。仙台市の飲食店オーナー(51)は「提供価格を上げたいが、高すぎると客が離れるし、安すぎると利益が出ない。価格設定が難しい」と固い表情。新庄市で料理店「山葵家(わさびや)」「こわさび」を運営する「やまよフーズ」の斎藤伸治社長(63)は提供価格を上げたが「食材を代え付加価値を持たせるように工夫している」と話した。
年末年始用の食材商戦は間もなくスタート。県外スーパーの男性バイヤー(46)は「人流の復活に伴い、来客の増える家庭が多い」と予想し、安価だが容量の多い食品に狙いを定め、会場を回った。