「ことしはひどい…全滅の網も」 アサリの稚貝が大雨で埋まってピンチ 漁獲量3分の1で高騰の恐れも

アサリの漁獲量が全国1位の愛知県。

ところが、ことし6月の記録的な大雨でアサリの稚貝が大量に死んでしまったのです。

アサリの価格への影響は…

愛知県田原市の三河湾。

良質なプランクトンが流れ込むため、アサリ漁や養殖が盛んです。

しかし…

(アサリ漁師・中川佳久さん)
「どんどん(稚貝などの)資源が少なくなっている」

こちらの漁協は、毎年この時期に豊川の河口に生息する稚貝を400トンほど獲り、アサリが育つ海に放流していました…ところが!

(アサリ漁師・中川佳久さん)
「(稚貝が)死滅してしまって…少しは生きているが、取れない状況。ことしはひどい」

9月下旬、豊川に船を出しても稚貝がほとんど取れませんでした。

一体なぜ、稚貝は死滅してしまったのでしょうか?

(愛知県水産試験場・漁場環境研究部 武田和也博士)
「東三河地方に1日で400ミリを超える大雨が降った。六条潟には10センチから15センチくらいヘドロが堆積して、そこに落ち葉や木くずも混ざった状態に」

ことし6月、三河地方を襲った記録的な大雨。

(宮田あやか記者)
「愛知県豊川市です。一級河川の豊川は水位がかなり上昇していて、濁流がうねりをあげて下流に向かって流れている」

豊川の流域でも大量に雨が降ったことで、河口には泥や流木などが大量に流れ込み、稚貝が埋まってしまい死んでしまった可能性があるというのです。

(愛知県水産試験場・漁場環境研究部 武田和也博士)
「7月には、新たに着底したアサリの姿が見られている。1つあたりのエサの量が多いので成長は早いが、いかんせん数が少ない」

大雨以降、少しずつ稚貝は育ち始めていますが、例年に比べて量が少なく、数が戻るまでには時間がかかるといいます。

(アサリ漁師・中川佳久さん)
「雨が多かったので、死んでいる貝がいた。場所によっては全滅(の網もあった)」

田原市のアサリ漁師、中川佳久さんは漁の傍ら、稚貝の住みかとなる砂利が入った網を海底に約2000個沈めて稚貝を育てていますが、大雨で全滅した網もあったといいます。

それに加えて、海水温の上昇などで漁場で取れるアサリの量は例年の3分の1程度。このままではアサリの価格が高騰する恐れも。

(アサリ漁師・中川佳久さん)
「もう自然には勝てないので、人間の力でできることを少しずつでもやっていこうかなと」

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