佐田岬ドラマ

~はじめに~

①佐田岬燈台/日の出/2023.09.27.## ■佐田岬半島とは・・・

四国最西端に位置する佐田岬半島は、全長40km、最大幅6.4km、最小幅0.8kmで豊後水道に突出した日本一細長い半島である。

森林面積が地域全体の50%以上を占め、半島の主軸を平均300m級の山脈が走るため、全般的に平地に乏しく急峻な地形となっている。半島の南の宇和海側は白砂の連なる海岸、北の瀬戸内海側と半島の基部はリアス式海岸を形成しており、屈曲に富む海岸線、海食崖、奇岩等に恵まれた景勝地として知られている。

気候は、四季を通じて温暖で寒暑の差が少ない海洋性気候に属している。地質は、風化しやすく保水性に乏しい三波川結晶片岩が大半を占めており、地形的条件と相まって慢性的な水不足に悩まされていたが、1991年度に完成した南予水道用水供給事業により改善された。

藩政時代は宇和島藩とその支藩である吉田藩に統治されており、1935年の八幡浜市の市制施行以前は、すべて西宇和郡に属していた。現在は、八幡浜市を中心都市として日常社会生活圏を形成しつつ発展している(愛媛県佐田岬地域半島振興計画より抜粋)。

愛媛県伊方町からの依頼により本年4月から半島地域の撮影を担当している。しかし、何しろ表面上のことは分かっていても実際に地域に入り込んでの撮影は初めてのこと。それ故、まずは自然との共生と営みを大切にしている日常にファインダーを向けることとした。

②佐田岬燈台/遠景/2023.09.19.## ■撮影に必要な基本情報

そもそも風景写真、中でも雲海や肱川あらし等の自然現象撮影が私の得意分野ではあるが、この佐田岬半島にも「霧」の発生頻度が高く、そこには、自然のカラクリが潜んでいることを知らなかった。それは、約40kmにも及ぶ細長い半島が、瀬戸内海と太平洋側の宇和海に分断し半島先端部と大分県の佐賀関との間は14kmしか離れていないということに起因しているようだ。

まずは地球のめぐみをしっかりと理解していくために、この佐田岬半島における「日の出入り」、「月の出入り」、「天体の動き」などを撮影して理解していく必要があると考えた。

③佐田岬燈台/夕陽/2023.09.29.## ■佐田岬ドラマ

今回からのシリーズでは「佐田岬ドラマ」と題して、この地域と人々の暮らしやなんと言っても素晴らしい自然の営みを撮影し、私の拙いレポートと共にお届けしたい。

伊方町は「小さなまちの大きな自然」「二つの海が見える町」という素敵な表現をしている。そして、実際にこのことを皆様方に感じていただけるような撮影を進めたい。併せて、大洲盆地から伊予灘へと流れ出る「肱川(ひじかわ)」と中央構造線の延長線上に存在することから山河の軌跡あの時ボクが観た景色を百年先のみんなに伝えたい”という作品展や関連する写真集でも取り上げて皆様方へお伝えする。このことによって、道後温泉から城下町大洲へ、そして、佐田岬半島を旅する旅行の誘発剤にでもなれば地域創生撮影活動としての成果になるのではないかと考えている。

④佐田岬燈台/中秋の名月/2023.09.29.## ■街づくり写真家 河野達郎写真展

最後に、大阪でこの佐田岬ドラマをご覧いただく写真展を開催する予定です。

タイトル:『山河の軌跡』あの時ボクが観た景色を百年先のみんなに伝えたい

日 時:11月4日(土)~11月24日(金)

場 所: ソニーストア大阪αギャラリー

(これまでの寄稿は、こちらから)

寄稿者 河野達郎(こうの・たつろう) 街づくり写真家 日本風景写真家協会会員

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