黒部で竜巻8棟被害 風速30メートル、工場の屋根飛ぶ

工場屋根のトタンが飛ばされてきた住宅街=5日午後0時21分、黒部市生地

  ●440戸一時停電

 5日午前10時半ごろ、黒部市生地で竜巻が発生し、しょうゆ工場屋根のトタンが吹き飛び、周辺の民家など8棟が被害を受けた。富山地方気象台の気象庁機動調査班が現地に入り、竜巻と断定、風速は約30メートルとみられる。けが人はいなかった。

 黒部署によると、午前10時半ごろ、住民から屋根が飛んでいると通報が入った。現場は細い通りに面し、店や住宅が密集しており、海岸から約100メートルの泉田醤油(しょうゆ)店工場の屋根が飛ばされ、付近の電線や民家上に引っ掛かったり、落ちたりした。市などによると、建物被害8件のほか、軽自動車など被害車両も3台あった。

 北陸電力送配電によると、午前10時20分ごろから午後3時半まで生地、生地芦崎の約440戸で停電が発生した。市は一時、停電避難所として市コミュニティセンターを開放した。

 富山地方気象台は現地調査結果として、▽突風発生時に活発な積乱雲が付近を通過中▽発生時に漏斗雲や移動する渦を撮影した画像を得た▽竜巻に特徴的なゴーという音が移動したという証言が複数得られた―ことを根拠として、竜巻と認められると発表した。

  ●大気不安定に、県内強風注意報

 5日の富山県内は寒冷前線や上空約5500メートルの氷点下15度以下の寒気を伴った気圧の谷の影響で、大気の状態が非常に不安定となり、竜巻などの激しい突風が吹いた。最大瞬間風速は朝日町で17.1メートル、南砺市高宮で15.4メートルを記録。富山地方気象台は富山、高岡、射水、氷見、魚津、黒部、滑川、入善、朝日の9市町に強風注意報を出し、注意を呼び掛けた。

 最低気温は氷見市12.8度、魚津市13.5度など全10観測地点のうち6カ所で今季最低となった。

海上に発生した漏斗雲=5日午後1時ごろ、黒部市生地(住民提供)

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